表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/11

虎の穴に行こう

東倉とうくら先輩、強かったなー」


 健人は、ボンヤリと窓の外を見つめていた。レアキャラ特有の、初見殺しを食らったとは言え、昨日の敗戦は応えていた。


「いくらチームメイトとは言え、あんな負け方してるようじゃ、全国は夢のまた夢だ……」


「健ちゃん、梓姉ぇは学生ランク全国2位の強豪だよ。それに食らいついているんだから、十分強いよ健ちゃんは」


「そか〜、東倉先輩そんなに強い人だったのか。って!  肇先輩、何時から居たんですか? あと、顔が近いです」


「5分くらい前」


 健人の顔を、横から覗き込む様に、ギャル先輩の高柳肇は彼を見つめていた。


「あ、部室行きます? 今日は肇先輩と対戦したり、東倉先輩に再戦を申し込みたいんですけど」


「良い表情に、なって来たねー。でも、今日は健ちゃんに来て欲しい所があるんだ」


「何処です?」


「虎の穴」


「は?」



 虎の穴へ行こうと告げられ、学校から引きずり出された健人。肇は健人の腕を掴み、グイグイと引っ張り目的地へと向かう。

 スタジアム横を通り、大通りを越える。そして、総合体育館を越えた先に、目的地はあった。

 

 館外工業高等学校。

 

「ここが虎の穴?」


「そうだよ」


 校門の前に着くと、肇は誰かに電話をかけた。軽いやり取りを終え、待つこと数分くらいだろうか。

 校舎の中から、ジャラジャラと金属音をたてながら、中性的な顔立ちの男子学生が、此方に向かって来た。


「こんにちは。高島さん、高柳さん」


正純まさずみさん、オッスオッス!」


「ようこそ。格ゲー対戦会、虎の穴へ」



 ジャラジャラと、校舎内にアクセサリーの金属音が響き渡る。古田正純の両手と首元の、チェーン状のアクセサリーが、歩くたびにジャラジャラと音をたてる。


「凄いですね、そのアクセサリー」


「ああ、自慢の妹の作品でね。作ってくれた以上、身に付けないわけには行かないだろう?」


「すみません」


 やばっ!? と、顔を強張らせる健人。それを見た正純は、ゴメンねと、軽く謝る。


「ところで、店長からもらった左右逆のレバーレス、気に入ってもらえたかな?」


「え! 何で知ってるんですか」


「知ってるも何も、アレを創り上げて店長に渡したのは俺だからね。で、使い心地はどうだった」


「凄く、使いやすかったです。反応はいいし、無駄な力も要らない。最高のレバーレスでしたよ!」


「いやー、そこまでに行ってもらえると、職人冥利に尽きるよ」


 アケコン談義に花を咲かせながら、校舎内を歩いていると、部室と思わしき部屋にたどり着く。

 正純は、引き戸をガラガラっと開ける。


「いけー! 梓。今日こそ上原に、一発かましてやれ」


「何言ってるの、綾乃お姉様が負けるわけないでしょ」


 部室内は、ちょっとした大会をやってんじゃないかと思うくらいに、盛り上がっていた。


「あ、梓先輩!」


 PCで対戦をしていたのは、チームメイトでもある東倉梓。その横では、背の高いポニーテールのお嬢様が、梓と対戦していた。


「格ゲーの知識が無い、僕でも知っている!? 若干十一歳でプロライセンスを獲得した、ファンタズムバトルの現学生王者。上原綾乃プロだ!」


 初めて見るトッププロを前に、健人は魅入られたかのように、目を輝かせるのだった。

解説 プロライセンス(本作品)。


本作品におけるプロライセンスは、以下の効力を持つ。


1 プロライセンス獲得大会で好成績をおさめている為、プロとしての実力を証明できる。


2 本作の法律では、格ゲーで高額賞金を獲得する為に、必要なライセンスである。


3 ライセンスの獲得者は、プロとして相応しい人物である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ