無敵技付与の必殺技は強いけど、使い方にはご用心
トウカの大太刀を食らい、後ろにふらつくウィリアムス。ヒット後の硬直で、僅かに動けない時間が発生した。
トウカはそこを、見逃さない。今度は高々と掲げていた、左手の太刀でウィリアムスを上から叩き切る。
この連続攻撃で、相手の体力の2割の2000ダメージを削るが、攻撃を止める気配を見せない。
初手で当てた右手の大太刀を納刀すると、同時にトウカの左手腰から、高速で何かが飛び出す。それに当たったウィリアムスはトウカの頭上より高く打ち上げられる。
彼を打ち上げた物の正体、それは隠し武器の小刀だった。
「健ちゃん、空中で無防備なウィリアムスを、叩き落としちゃえー」
肇の声掛けと同時にトウカはジャンプし、コンボのフィニッシュと言わんばかりに、左手の太刀で浮いているウィリアムス切り、地面に叩きつける。
ファーストアタックから10秒に満たない僅かな時間でトウカは、相手に3200もダメージを与えたのだ。
「けっ、このままで終わらせねぇ!」
ダウンから起き上がる直前に、ガシャガシャと荒っぽいレバーの操作音が鳴り響く。
マナを消費した無敵付与の必殺技で、ウィリアムスは起き攻めを狙った。
「無敵技持ちに、起き攻め仕掛けるなんて甘えんだよ、初心者!」
が、彼の目論見は外れる。トウカは無敵技を、キッチリとガードをしていた。ウィリアムスは、ダメージを与える事が出来ず、そのまま上空に飛び上がった。
対空系の必殺技を空振った者に待つのは、キッツイお仕置き。無防備に落ちてきた所を、トウカの抜刀による強烈なコンボでシバかる。
パーフェクトウィン!と、筐体から流れるボイスにカフェのギャラリーは大盛りあがり。迷惑ゲーマーを、先程まで可愛がっていた初心者が、ボコボコにしているのだ。
店の常連にとって、これ程爽快な事は無いだろう。
続く第二ラウンドも、健人のトウカが九頭竜のウィリアムスを圧倒する。
追い詰められた九頭竜が、ヤケクソで放ったレベル3の超必殺も、健人にガードされジ・エンド。
健人が二先の1セット目を、先取したのだった。
解説、対空必殺。
格ゲー黎明期から存在する、対空必殺。使い道は、ジャンプして来た相手への対空から、無敵付与の対空必殺で起き攻めを狙った相手へのカウンター等。使い方は様々。
だが、空に高く飛び上がると言う、黎明期から存在するお約束が存在する以上、対処された者の末路は悲惨である。
対空必殺技、使い方にはご用心を。