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先輩、距離近すぎませんか? と言うか、ゼロ距離なんですけど

 図書室のパソコンで、友人から借りた同人格ゲーを遊んだだけなのに……


 格ゲー初心者の一般学生高島健人は、距離感バグなギャル先輩、高柳肇に「お願い、貴方の力で私達を全国に連れて行って!?」とお願いをされ、三人の格ゲーチームを組むことになった。


 ギャル先輩こと高柳肇は、何故全国大会に行きたいのか?

 そして高島健人は、彼女達を全国大会の舞台に連れていけるのか?

 少年とギャル先輩の、格ゲー青春が始まる。

「先輩、距離近すぎませんか? と言うかゼロ距離なんですけど」

 ブレザーの制服に身を包んだ童顔の少年が、一つ年上の少女に対し、思わず呟く。

 ゼロ距離、確かにゼロ距離だ。カーディガンを腰に巻き、ふんわりとした金髪のロングヘアー。

 そして髪の内側の色、いわゆるインナーカラーがピンクと言う、世間一般の学生からはやや離れている存在。

いわゆる、白ギャルと言うやつだ。

 それが、カップルを思わせる雰囲気で、彼の左手に抱きついている。


「いーじゃん別に。コレから一緒に、全国を目指す仲間なんだから、コレくらいトーゼンっしょ!?」


 (ダメだこの先輩、距離感がバグっている。いや、距離感がバグっているにも、限度はあるだろう。流石におかしい)


 そして腕を組んでるせいで、巨大な胸部がさっきからずっと当たっている。コレが図書室を出てから駅前まで、20分以上続いてるのだ。

 しかも、二人がマトモに話したのが、今日が始めてなのだ。

 先輩の距離感がバグっていると思うのも、無理は無いだろう。


「てか先輩、僕は格ゲーはほぼ初心者の人間だけど、本当に良いんですか? 先輩達を、全国大会に連れて行けるメンバーを、探しているんですよね」


「だーいじょうぶ! さっきギャルゲーの同人格ゲーを、図書室のパソコンでやっているの見ていたけど、メッチャ動き良かったじゃん。アタシ格ゲーマーを見る目だけは自信あるから、だから安心しなって」


「図書室のパソコンで、友人から借りた同人格ゲーを遊んだだけなのに……」


 この世に生を受け、十数年。格ゲーに殆ど触れた事が無いのに、「お願い、貴方の力で私達を全国に連れて行って!?」とお願いをされ、少年は図書室から引っ張り出され、ギャル先輩に連行されたのだ。

 押しが強いギャル先輩は、少年をグイグイと引っ張っていく。グイグイと引っ張っていく、どこまでも。


「所で健ちゃん、さっきから顔赤いけど大丈夫?」


「高柳先輩、自覚無いんですね……」


 さらに歩いて、5分ほど。目的地のゲーミングカフェ、グランプリボスに到着した。

 館外駅前に居を構えるこの店舗に、高島賢人と高柳肇は、学生のラブラブカップルとしか思えないくらいの雰囲気で入店していく。



 店内にエンドレスで流れる、ゲームのBGMと実況のボイス。

 パチパチと鳴り響くボタンの打鍵音と、ガシャガシャとレバーを動かす音。

 喫茶店風の店内には、中央のテーブルにゲーミングPCが十台程置かれていた。


 さて、肇はと言うと、店内の常連と思わしきプレイヤーと、挨拶を兼ねた談笑をしている。


「あ。僕の時ほど、距離感バグってない。いや、少し近いか」


 一通り挨拶を終え、肇は健人の元に戻る。ドリンクの似合いそうな、カウンターへと連れて行った。


「テンチョー!コントローラー貸して欲しいんだけど」


 スキンヘッドでガタイの良い男が、無言でカウンターの内の棚をゴソゴソと探す。

 すると三つのコントローラーが、コトリと音をたて、カウンター席の上に置かれた。


 昔ながらの、家庭用ゲームのコントローラー、パッド。

 ゲームセンターに置いてある筐体の、レバーと呼ばれる金属のスティクに丸い握りのついた、長方形の箱型コントローラー、アケコン。


 そしてアケコンと同じ様な箱型だが、方向の入力をするレバーが排除され、代わりに方向入力用のボタンが配置された、レバーレス。

 この三つが、店長から提示された。


 健人は三つのコントローラーを見て、一瞬だがしかめっ面を見せる。数分程悩んだ末選んだのは、レバーレスのアケコンだった。


 レバーレスを店長から受け取り、パソコンの前に座る、健人。そして隣には、ギャル先輩の肇が椅子を置き隣に座る。


「さあ、コントローラーも決定したし、健ちゃんのキャラ選びを始めよー! そして、ファンタズムバトルを始めるぞー」


「あの、距離近すぎです……」


 これから健人に、コマ投げでもかますのか? と思うほどに、椅子と椅子の距離もまでも超ド密着な肇だった。


 なんやかんやありつつも、年上のギャル先輩からレクチャーを受け、健人は使用キャラを選択した。したの、だが。



「マジで、トウカちゃん使うの? いや、ナーフされまくってるから、絶対キツイって……」


「僕は絶対に、トウカを使います。コレだけは絶対に譲れません。もし彼女を使う事が出来ないなら、今回の話は無しにして下さい」


 ナーフにナーフを重ねねられ、本ゲーム最弱キャラにまで落ちた、トウカ・サカザキ。

 何故健人は、彼女を使いたがるのか。その理由とは。


解説1 ファンタズムバトル。ファンタズムボウルと言う作品を、格ゲーに落とし込み成功したゲーム。

 原作ファンから格ゲープレイヤーまでを満足させ、日本のみならず、世界中にファンとプレイヤーが存在する。

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