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6話 自己紹介動画をアップロードする

 放課後。

 帰宅部であるミナは、すぐに校舎を出た。


『手に入れたスキルを見せたいから、今日もダンジョンに行こうよ!』

『家に帰ってからね』


 今日は配信をやらないにしても、身バレをしない格好をしていきたい。

 帰り道、顔がかなり隠れるゴツイサングラスを購入した。

 家に帰ると、制服から私服に着替える。


 これで身バレはしないだろう。

 とは言っても配信をする際、ミナはカメラマンを担当するので、映らないのだが。


 他の探索者に撮影された場合の保険である。



 この前と同じダンジョンへ向かうと、人気ひとけのないエリアへと移動した。

 移動を終えると、寄生していたミナが体外へと放出される。


「で、どんなスキルを手に入れたの?」

「ふふん! 見て驚くといいよ! スキル発動! 【擬態】!」

「ああ、そういう」


 ミナはスマホを取り出すと、それについて調べた。

 【擬態】。

 文字通り、他のモンスターや生物に擬態をするスキルだ。


(転〇ラかな?)


 しかし、そこまで便利なスキルではない。

 発動者よりも弱い種族にしか擬態できないと、探索者wikiには書かれている。


 のだが……


「どう!?」


 目の前には、ピンク髪をした、見慣れたイルの姿があった。


「え!?」

「変かな?」

「変じゃないけど……って、そうか」


 強さというのは、種族としての強さだと、書かれていた。

 例え鍛えたとしても、人間の身ではドラゴンには擬態できないという。


 イルは本来であれば地球人を消す為に生まれた存在だ。

 人間よりも、格上判定なのだろう。


「どうしたの?」

「なんでもない。服はダンジョンで手に入れた奴?」

「うん! 他の探索者が着ていた服を参考に作った!」


 イルが着ているのは、黒にピンク色のラインが入ったセーラー服である。

 現実世界では見かけないが、ノベルゲームなどのキャラクターであれば、割と着ている制服かもしれない。


 どうやって作ったのかは不明だが、おそらく見かけだけで、性能はただの布だろう。

 勿論、この前の戦闘を見てしまったので、防御面の心配もわかないのだが。


「そうだ! ダンジョン配信するんだったら、まずは自己紹介動画で人を集めないと!」


 ダンジョン関係専門の動画&配信サイト、【ダンチューブ】。

 そのサイトの性質上、いきなり配信をしても、誰も見てくれない危険性がある。


 そうなっては、イルが機嫌を損ねる可能性だって十分考えられる。

 人間の姿になれるのであれば、自己紹介用の動画を撮影しておこう。


「って、【擬態】って10秒しか持たないじゃん!」

「そうなの?」


 とんだハズレスキルである。


「あれ?」


 おそらく10秒は経ったハズなのに、イルは人間の姿を保っている。


「どうして!?」

「よく分からないけど、私の擬態時間は、無制限だよ!」

「なぜ!?」


 wikiの情報が必ずしも全て正しいとは限らないので、そういうこともあるのかもしれない。


「ダンジョン外でも、変身できればいいんだけどね!」

「本当にね」


 ダンジョン外では、あくまで女の子の姿に見えるようにしているだけなので、実際に擬態している訳ではない。


「さてと、自己紹介動画を撮るよ」

「OK! 所で、自己紹介って何を言えばいいの?」

「好きな食べ物とか、どんな配信者になりたいかとか、使う武器とか……そんなことでいいんじゃないのかな? 後は最後に配信に来てくださいって言うといいかも」


 本来の姿はともかく、擬態中のイルは非常にかわいいので、言えば来てくれる人も多いだろう。



 家に帰ると、編集したイルの自己紹介動画をアップロードした。

 最初なので、おそらくあまり再生数は取れないとは思うが、何もしないでいきなり初配信をするよりはマシである。


 イルの真の姿を投稿すれば、一気に伸びるのは確実と言っても過言ではないのだが、それはあまりにも危険過ぎる。

 彼女を怒らせるような展開へ、持っていってはならないのだ。


「アップロードできた!?」

「うん」

「1万再生くらい行った!?」

「今投稿したばかりだから、まだ0回再生だよ」

「そっか……皆見てくれるといいな!」

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