48話
「この小屋さぁ、外より暑くない?」
長椅子に二人で並んで座りながら、しばしの休憩。
確かにこの場所は体を休める目的で作られているわけではなく、バスが来るのを少し待っておくために作られた場所だ。
僕達みたいな理由で利用している人はそう多くないだろう。
「本当にどこ向かってるんだよ」
「多分あとちょっとで着くはずなんだけどな~」
頑なに目的地を教えてくれないのは、隣にいるこいつの性格が故かもしれない。
サプライズが好きなのか、それとも、イライラしている僕を見るのが好きなヤバいやつか。
「さぁ、そろそろ行こっか」
「えっ、もう?」
この小屋に入ってまだ3分も経っていないはずだ。
「いいでしょ。ここ暑すぎるし、何より休む場所じゃないしさ」
確かに汗は止まるどころか、湧き水のように額から膝に滴っていた。
「ふー」
僕は深呼吸とため息が混じったような息を吐いた。
先の読めない未来にストレスさえ感じていた。
「よし、じゃあ出発!」
屈託のない笑顔を見せるあいつは椅子から立ち上がり、暑苦しい小屋を出た。
僕はそれに渋々ついていく。
今さら帰ったって先生に怒られる運命なのだ。
それなら読めない未来を見るのも悪くないと思ってしまっている僕は、この暑さに頭をやられてしまっているのかもしれない。




