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アイをトル  作者: 冬夜風 真愛
41/54

41話



 次の日はずっと拓実と一緒にいた。

 昼休みは一緒に弁当を食べて、放課後は屋上でグラウンドを一緒に眺めた。

 色々な競技を一気に見渡せるこの場所は、とても居心地が良かった。


「拓実はなんで部活行かないの? もう始まってるよ」


「いいんだ。なによりも北野っちと話してる方が楽しいしなぁ」


 拓実はサッカー部の練習を死んだような目で見下ろしている。

 あの緑色と赤色のビブスを着て走っているのがサッカー部だろうか。

 目が悪い僕にはサッカーボールを蹴っているのかまでは確認できなかった。


「サッカー上手いらしいね」


「ふっ。まぁな」


 拓実は分かりやすく鼻で笑った後、僕の言葉を肯定した。


「割と素直なとこあるんだ」


「まぁ事実だからな、わざわざ否定なんてするかよ」


 なんて強気な男なのだろう。相当サッカーに自信があるらしい。


「やっぱり部活行かないと、あの人が怒るんじゃないの?」


「あの人?」


「さっきからすごい勢いで怒鳴ってる人」


 さっきからというより正直ずっと怒っている。

 顔は全く見えないが、背の高い男が部員に怒号を飛ばしているのが、屋上からもよく分かった。


「あー、あれがキャプテン」


「あの人キャプテンなんだ」


「そう。一個上の先輩なんだけど、見ての通りあんな感じだから、後輩からは嫌われてる」


 三年生はもうすでに引退しているらしく、一個上の二年生がキャプテンを務めているようだ。


「だろうね。あんなに怒らなくてもいいのに」


「キャプテンとしてチームをまとめようとしてるのはすげぇ分かるんだけどさ、そのプライドが空回りしてるんだよ」


「もしかして拓実もあの人と何かあったの?」


「ああ。実はそうなんだ。ちょっと愚痴ってもいいか?」


「もちろん。なんでも聞くよ」



 グラウンドを見ていた僕と拓実は体を反転させ、その場に座り込んだ。


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