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アイをトル  作者: 冬夜風 真愛
19/54

19話



 日楽病院に着いた時、僕は汗だくだった。

 学校からその病院までは走っていける距離だった。


 病院のエントランス前には警察官が立っていて、僕は身だしなみなんて整えずに話しかけた。


「すみません。母が事故でこの病院に搬送されたって聞いたんですけど」


「北野祐さんですか?」


「そうです」


「それでは私についてきてください」


 電話をかけてきたのはこの人だろうか。

 僕は彼の声を聞いても分からなかった。

 自動ドアを通り過ぎ、独特な匂いのするホールを抜ける。

 歩いているうちに、だんだんと現実味を帯びていく。

 この病院は十階まであるらしいが、母の居る部屋は一階だった。


「こちらの部屋です」


 僕は何も分からない。

 こんな経験を今までにしたことがないから、母とどんな顔で会えばいいのか、なんと声をかければいいのか、まったく分からなかった。



『お母さん。心配させないでよ』



 僕は元気な母の顔を見て、こう言うと



『心配かけてごめんね。私は大丈夫よ』



 笑いながらそう言ってくれる母の姿が脳裏に浮かんだ。





 しかし、現実はそう甘いものではなかった。



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