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アイをトル  作者: 冬夜風 真愛
18/54

18話

 


 僕のスマホが鳴った。


 画面に表示された名前は「お母さん」だった。


「ごめん。ちょっと待って」


 僕は遥香にそう言って、母からの電話に出た。


「もしもし。急にどうしたの?」


「あっ、もしもし」


 頭の思考回路が一瞬停止した。聞こえてきた声が想像していたものとは全く違ったのだ。


「えっ。誰ですか?」


「警察のものなんですが」


 母の携帯電話から警察が電話を掛けてきた。

 この状況を理解しようと思ったのだが、頭が回転し始める前に僕の耳に衝撃的な言葉が飛び込んできた。



 「あなたのお母さまが事故に遭われました」



 顔も体格も知らない、警察と名乗る男から発せられたその言葉。

 僕の胸の鼓動はどんどん速くなった。



 「お母さまは先ほど日楽病院に搬送されました」



 僕が聞き取れたのはこれだけだった。

 電話が切れた後も僕の体は動かない。

 この状況を理解することに集中しすぎて、体を動かすことを忘れていた。


 「どうしたの? そんな固まって」


 横で待っていた遥香は、僕の顔を見て心配そうに言った。

 僕は遥香の声で我に返り、勢いよく椅子から立ち上がる。

 家から持ってきたリュックも持たずに、音楽室を飛び出した。



「ちょっと待ってよ! どうしたのよ」




 後ろから遥香の声が聞こえたが、僕は何も言わず無心で階段を駆け下りた。





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