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アイをトル  作者: 冬夜風 真愛
12/54

12話


 母が家に帰ってきた時、僕はリビングのソファーに座っていた。


「ただいまー」


「おかえり」


「朝ご飯今から作るからちょっと待ってね」


「全然ゆっくりでいいよ」


「あら、そう」


 母はそう言ってトイレに行った。

 毎週土曜日の午前中はテレビを見て過ごしている。

 ソファーに座って、スマホを片手にテレビを見るのがルーティンだった。

 とはいえ、特に見たい番組があるわけではない。


 しかし、今日だけは違う。いつものようにゆっくりとテレビを見る余裕はなかった。

 なぜなら、雨予報だった天気も結局降ることはなく、晴れているからだ。

 昨日の時点で遥香に「明日は予定がある」と言っておけばこんなことにはならなかったのに、雨予報を信じてしまったばっかりに、遥香にチャンスを与えてしまった。

 土曜日の朝がこんなに憂鬱なのは久しぶりだ。

 もちろん遥香に会うのが嫌なのではなくて、休みの日に外出することが何よりも嫌いなのである。


 ピロリン


――― おっはよ~~。いぇぇ~~~い! 晴れたぜ~! ―――


 遥香から連絡がきた。字面から嬉しそうなのが全面に伝わってくる。なぜか腹立たしい。


――― おはよう。どうしたら天気なんて変えられるの? ―――


――― 天気はね、祈ってても変わらないんだよ。 

    雲さんと太陽さんに相談するの。

    明日は晴れにしてくださいってね(笑) ―――


 全然面白くないと思った。


――― へ~ ―――


――― いや、そこもっと膨らませないと。北野くんが聞いてきたのに~(怒) ―――


――― ごめん ―――


――― 謝らなくていいよ(笑) それで、今日何時がいい? ―――


 僕は時計を見た。今はAM9:20だ。


――― 昼の十三時とかはどうかな? ―――


――― じゃあそうしよう! 場所はまた後で連絡するね ―――


――― わかった ―――


 スマホの画面を閉じて、ソファーに横になった。

 あと三時間半近くある。ゆっくりする時間を確保することに成功したようだ。

 

 いつの間にか母は台所で味噌を溶いていた。



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