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七十一学期 懐かしき者

 ドアのベルが鳴って、開けてみるとそこには見知った人の姿があった。茶色の髪の毛を首の辺りまで伸ばし、小さな体をした幼さを感じる見た目の少女の姿がそこにはあった。彼女は、とても子供らしいあどけない笑みを浮かべて、私へ一言。


「……久しぶり! お兄ちゃん!」


 その笑みを見るのは、久しぶりだ。子供っぽくて、可愛らしい純粋な眼差し。あの頃の思い出が蘇って来る。



「……乃土花ちゃん、久しぶり!」


 苦手な子ではあるのだが、やっぱり会うと何処か嬉しい。そんな気分になる。ついつい笑ってしまっていた私が、彼女を家に案内する。



「……さぁ、入って! 歓迎するよ」


 私は、彼女のキャリーバッグを持って上げて家へ案内した。まずは、キッチンにいるパパとママと再会を喜びつつ、これからここに泊まるまでの間の事について話をしていた。この間、私は乃土花ちゃんとパパ、ママそれと自分の分のお茶やお菓子を用意してあげて、後から3人の会話に混ざるのだった。ママがとても嬉しそうに乃土花ちゃんに尋ねる。




「……それじゃあ、本当に光星高校を目指しているの?」



「うん! 私、日和お兄ちゃんと一緒の学校に行きたいから頑張ってるの」



 久しぶりの再会だというのに、なんだか凄く距離感が近い気もするが、昔と変わらないこの感じがママは嬉しかったのだろう。凄く嬉しそうだった。そして、それはパパも一緒のようだった。


 2人とも笑ってる。まぁ、確かに……パパ達からしたら妹が帰って来たって感じなんだろうな。




「……お兄ちゃん! これから一緒に学校行こうね! そのために私、頑張るから!」


「へ……あ、うん! 待ってるよ。乃土花ちゃん」



「もう! 違うよ! お兄ちゃん! 私の事は、《《乃土花》》で良いんだよぅ」




「え? あぁ、うん。そっか……」


 パパとママは、笑っていた。私達のこの掛け合いが凄く兄妹っぽく見えたのだろうか? 分からないが……。




 その後も私達は、乃土花ちゃんと4人で昔を思い出しながら話をした。私達は、懐かしい思い出話に花を咲かせて、楽しいひと時を過ごしたのだった。






「……お兄ちゃんの事、やっぱり私が……」



 何か不穏な気配が私を襲う事なども知らず……私達の一週間が始まるのだった。




次回『学校を案内する者』

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