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七十学期 幼馴染である者

 それは、とある夏の日。夕食を終えて自分の部屋に戻ろうとしていた私に母が告げた所から始まった。お皿を一枚ずつ重ねて水道へ運ぶ母は、日和に話しかけた。


「……そういえば明日、《《乃土花ちゃん》》がこっちに来るみたいよ」



「え……!」


 その言葉に私は、驚いた。すると、母はにっこり微笑みながら私に言った。



「……そうなのよ! さっき急に連絡が入ってね。明日から1週間ここに来るみたいなの。なんかね、日和ちゃんの行ってる学校を受験するつもりみたいでね、学校見学を兼ねて、日和ちゃんに会いに行こうって事らしいのよ」





「へっへぇ……」


 母の話を聞いて私は、何も言わずにその場を立ち去る事にした。





 ――土御門乃土花つちみかど のどか。私の幼馴染だ。小さい頃、この近くに住んでいたのだが、親の仕事の都合で小学校の頃に引っ越してしまった。歳は、私の方が1つ上で、昔から私の事を何故か……《《お兄ちゃん》》と呼ぶ。なんでだろうか? まぁ、昔の私は女というものはどのように振舞えば良いのか分からず、少し荒々しい所があったから……おそらくそれが原因なのだろう。



 そんな彼女が、明日からここへやって来るわけだが……うむ。正直な事を言おう。私は、あの子が苦手だ。小さい頃は、仲良くしていたけど……正直、少し苦手だ。






 まぁ、でも……明日来るならちゃんと出迎えてやらないとな。久しぶりの再会になるわけだし。何年ぶりだ? 5年以上は、会っていなかったと思うが……。







 ――そんなこんなで一日が終わり、その日はやって来た。彼女は、昼頃にやって来ると言っていたっけ……。なら、そろそろか。そんな事を思いながら久しぶりに会う幼馴染との再会を何処か楽しみにしていた。




 彼女は、きっと綺麗に成長しているのだろう……。元々可愛い子だったし……もしかしたら、性格も変わっているかもしれない。私の苦手な所が丸くなっているかもしれない。そんなこんなで私は、彼女がやって来るのを待ち続けた。

















 同じ頃、日和の家の前にて……。1人の少女がキャリーケースを引っ張りながら青い空の下で上を見上げていた。





「着いたよ。《《お兄ちゃん》》……」

次回『懐かしき者』

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