三十九学期 優勝者
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 勝った! 日下部さん! やったよぉぉぉぉぉぉ!」
クラスの皆が、喜んでくれる。私も嬉しい。皆と私が、一丸となって喜びを共有し合う。
やったのだ……。終わったのだ。私達は、勝った。校庭の前の校舎側に貼られてあるスコアボードを見ると、そこには3組と他のクラスのスコアが載っていた。3組が勝っていた。
優勝した。……優勝できた。私が……! これでようやく安心して眠れる。今までずっと……体育祭で勝てなかったらどうしようとか内心思っていたが、それも今日で終わりなのだ。
あぁ……明日からまた完璧美少女として学校中の女の子のあんな所やこんな所を見る事ができる。私だけの……サブスク空間が完全復活を果たす……!
「……うっ、うぅ……」
自然と涙も溢れてきた。これまで頑張って来た私。最後の最後まで頑張り切れた私……。女の子のエッチな姿をこれからも沢山見るため……この平穏を守るため、努力を重ねた私。この達成感。涙なしじゃ……。
「……日下部さん」
クラスの人達に涙姿を見られて、なんだかジーンとした空間が生まれる。うーん。なんか、勘違いしているみたいだけど……まぁ良いか。
すると、今度は……後ろから愛木乃ちゃんと火乃鳥先輩の2人が、やって来て肩に手をのせて話しかけてくる。
「……お疲れ様。日下部さん」
負けたのに、なんだか落ち着いた感じで話しかけてくれる愛木乃ちゃん。こういう所に大人っぽさがあるというか、うーん。素敵だなぁ。
「……まっ、まぁ……一年生の新米にしては、よく頑張った方じゃないかしら!」
火乃鳥先輩は、お酒が抜けているのか……いつものツンデレ最可愛ヒロインモードになっている。相変わらずの可愛さ。酒抜いたら絶対モテると思うんだよなぁ……。
そんな2人の後に今度は、会長と水野さん。2人の姉妹が駆けつける。彼女達も言った。
「……おっ、お疲れ様です! くさかべしゃん!」
全てが終わっていつもの人格に戻った水野さん。緊張していて可愛い。
「……本当、皆よく頑張ったわ。火彩も……いきなり呼んだりしてごめんね」
「……べっ、別にその……良いわよ。…………たっ、楽しかったし……」
火乃鳥先輩、顔赤いぞ~。なんなんだ、このクソちょろヒロイン。す~ぐ顔を真っ赤にしてツンデレ構文。アンタの心の中には、釘〇理〇でも住んでるのか?
そんな事を思いながら、私達は体育祭閉会式に行くために歩き出すと……今度は突然私の目の前に金髪縦ロールの美少女が現れて、告げてきた。
「……待ちなさい!」
「……!?」
中尊寺さん……? 彼女は、とても悔しそうな顔をしていて私の事を睨みつけていた。まるで……野生の動物が天敵を前にして牙を剥き出してギリギリと噛み合わせている時のような感じだ。彼女は、私と目と目が合った瞬間に告げた。
「次は……次は絶対に! 負けませんわ! 絶対に……」
彼女の瞳から……一筋の涙が流れているのが見える。それを見た私も一瞬だけもらい泣きしそうになったが……。
「……えぇ、待ってるわ」
ぐっとこらえて、私は返事を返す事にした。
こうして、本当の意味で体育祭は、終了した。学生達も……皆、とても満足そうな感じに閉会式へ向かって行く。
しかし、閉会式に向かって行く途中で……会長が私達全員に向けて衝撃的な言葉を発した事でこの雰囲気はぶち壊される事になる。
「……さぁ、帰ったら早速勉強よ! 中間テストも明日から2週間きるし……皆でもう一度頑張りましょう!」
……え?
私、水野さん、愛木乃ちゃん、火乃鳥先輩、中尊寺さん……全員が本当の意味で心を一つにしたのは、皮肉にもこの時だった。体育祭に全力を出し過ぎて完全に忘れていたのだ。この後すぐに中間テストがある事に!
次回、中間テスト編に続く……。
次回『学ぶ者達』




