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三十四学期 愛の為に戦う両者

 ──私は、昔から人によくちょっかいをかけられやすい人だった。



 小さい頃、同じ幼稚園の男子達から「泣き虫」とよく罵られた。女子達からはとても仲良くしてもらえて、おままごとなんて毎日のようにしていた。私は、小さい頃から既に男の人が苦手になっていて、女の子とばかり遊ぶようになった。


 でも、それもそうはいかなくなったんだ。小学生になると、徐々に女の子達は変わっていった。最初は仲良くしてもらえてたけど、気づいたら私に友達なんていなかった。私が仲良くしていたはずの子達は、皆あっちこっちに散らばっていった。そして彼らは、仲の良い人グループに分かれて、そこから出てくる事はもうなかった……。




 中学に入ると、とうとう私と仲良くしてくれていた女の子達は私に牙を剥くようになった。男子達は、私に対して何も言わなくなったのに……女の子達はよってたかって私に色んな事を言ってきた。



 そのうち私は、学校というのが嫌になった。




 中学時代、学校に行くのが嫌でしょうがなかった私は、一時期だけだが……毎日お姉ちゃんと家で過ごし、パソコンやスマホなどを駆使して読書をする事が増えた。この頃の私は、お姉ちゃん以外の人が基本的に信用できなくなっていた。





 しかし、そんな私にも高校受験の時が刻一刻と近づいて来た。お姉ちゃんによる仕込みによって勉強は、人並み以上に出来るようになっていたのだが……学校に行っていなかった時期が足を引っ張って成績が足りていなかった私は、中学3年の一年間、一度も休む事なく学校に行った。この頃になると、もう誰も私をいじめては来なかった。受験で回りも必死だったからだろう。




 そんな中で……私は、ついに高校への入学が決まった。中学の知り合いが誰もいかないと聞いて、偏差値も少し高い学校に行った私は、入学してすぐに読書に耽った。


 誰とも関わらない様にしよう……。物語の世界にだけ……どっぷりハマっていよう。もう誰とも……関わりたくない。






 そう思っていた私が、高校に入って最初に関わった人が日下部さんだった。





 私は、今まで……誰かとぶつかっても誰からも謝られたりはしなかった。どんな状況だろうと全部私のせいになるのだ……。





 でも、日下部さんは違った。あの人は、ちゃんと謝れるし……それに、こんな私の事を認めてくれた。何度も助けてくれようとした。それが、とても嬉しくて……。本当なら何気ない事だし……こんな事で喜びを感じる事自体おかしいはずなのに……凄く嬉しくて……どうしようもなく……幸せだった。




 どうしてなのかな……。全然分からないけど、でも……。









 ――あの人のためなら頑張れる! 私は……!





 


「……とても良い目をしていますわね。それでこそ、倒しがいがあるってものです!」



「……言っておくがの。わしだって、負けられんのじゃ。だいたい、どうしてそんな勝ちたがるのじゃ! アンタの目的がわしには、いまいち分からん!」




「……目的ですか? うふふ、そんなの……ただ勝ちたいからに決まっているでしょう? まぁ、でもそうね。強いて言うなら……私、勝って誰かを支配する事がとぉ~っても大好きなの。だからね、私……勝ったら日和ちゃん達の事を……自分だけの奴隷にしてあげたいの!」





「……へ? アンタ、イカレとるんか? どうしてそんな事を思うんだ?」




「……そりゃあ、ぞくぞくするからよ!」




「……アンタまじで、そんなキャラだったか!?」





「……うふふ。まぁ、良いじゃないですか! 今は勝負なのですから! それに集中しましょうよ。私、全力出してる人を負かすのが大好きなの!」





「……マジで、アンタ……キャラどうした?」



 そんなに……ヴィランって感じの人だったかな。いや、まぁだとしても……私のする事はただ一つ。




「……わしは、勝つ! 日下部さんと一緒に! アンタに勝って……わしが、日下部さんを……」



「あら? 何かしら? 何か言いたい事でも……あるのかしら?」




「……べっ、べべべべ! 別にっ! 何でもないけど!」





「……あらぁ? 分かりやすい事。うふふ……でも、私……譲る気はありませんわよ。このリレーも……それから、恋愛も……」





「……!? くぅ……!」





「あら? どうしたの? 悔しそうですわねぇ……。でも、わたし本気よ。絶対に……絶対に負けませんわ! わたくし、必ず……」





「……《《私も》》負けない!  私も……絶対に奪わせやしない!」




 

次回『友愛育みし者達』

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