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二十七学期 飲酒者

「……秘密兵器って、お姉ちゃん……それって……一体?」


 水野さんの一言に氷会長は、なんだか少し楽しそうなノリで答える。



「……ふふふ。瑞姫、それから……くさ、かべさん……放課後、ちょっと付いてきて」



「え?」











 放課後、私と水野さんは会長に呼ばれて校門の近くへやって来る。すると、そこにたくさんの生徒達に囲まれながら帰りの挨拶をしながらこっちへやって来る女子生徒がいた。その女の子は青い髪が特徴的な少女で、こっちに向かって来る。



「……さっきぶりね。さぁ、行きましょうか」



 会長に連れられて、私と水野さんの2人が向かったのは、学校から少し離れた所にある駅前の商店街。ここには、たくさんの光星高校の生徒達が遊びに来ていて、いつも学生を中心にとても盛り上がっていた。



 しかし、そんな学生街から少し離れた所に大人が楽しむための場所……飲み屋街が存在する。この飲み屋街を私と水野さん、そして会長は歩いていた。




「……ねっ、ねぇお姉ちゃん……? ここって、なんだかちょっと危なそうだよ?」



 カタカタと震えながら私の袖を引っ張って怯えている様子の水野さん。にゅふふふ、とってもキュートじゃーないの~。くふふ、素敵だねぇ。




「……もう少しよ。瑞姫」



 私と水野さんは共に会長について行き、数ある飲み屋を嗅ぎ分けて、進んで行く。そして、その一番奥にあるとある飲み屋の中へと……私達は、入って行った。




 ガラガラガラ……と昔ながらのドアを開けるとお店の中は、まだ誰もいない居酒屋の風景。



 ……いや、だれか向こうにいる!? というか、まだこんな時間なのに……居酒屋ってもうやってるのか?



 そんな事を思っていると、私達の前に立っていた会長がズカズカと店の中に入っていく。



「……え? かいちょ?」



 そうして、ずかずかとお店の中に入っていった会長は、お店の端っこのお座敷の所で横になっている1人の女の子の元へと一直線に向かって行った。すると、お店の人が1人やって来て、お店の中に入っていく会長に話しかけた。



「……氷ちゃん!」



 その店員さんは、とても困った顔で会長に話しかけて来ると、会長はとても頼もしそうな感じに告げる。



「……後は、大丈夫よ」



 なんか、よく分からないけど……凄くイケメンだ。頼もしい! カッコイイなぁ。




 すると、会長はお店の奥に座るその女の子の元に駆け寄る。その子は、赤い綺麗な髪の毛をツーサイドアップ……? (いや、もう既に髪が乱れまくっててよく分からんが……)していて、黒いリボンが特徴的だ。身長は、水野さんと同じく小さそうで、ウサギっぽい雰囲気の女の子だった。


 会長が、その赤髪の泥酔している女の子に話しかける。



「……また、飲んでるの? 火彩ひいろ?」


 その少女は、とても眠たそうな目を擦りながらテーブルに置かれた酒を飲みつつ、キョトンとした様子で……喋り出す。



「……ふぇ? お主、何者じゃ?」




「……はぁ。全く……。なんで、こういつも……貴方って人は……」



 会長は、とても呆れた様子でその女の人が寝転がっている場所へと靴を脱いで上がっていく。




「……ふにゃ? あぁ、氷ちゃんかぁ……おはよぉ~」



「おはようって……もう夕方よ。火彩」



「……あり? じゃあ、こんばんわ~」




「……はぁ、全く」



 そんな会長の様子を見ていた私と水野さんは、ささっとお店の中に入って行って、会長に話しかける。



「……会長、この酔っぱらいは一体……?」



「……この子が、私達3組の秘密兵器よ」




「……は? え? あっ、もしかして、秘密兵器って……先生の事……」




「いいえ。この子は、生徒よ」




「は?」


 な~に、思いっきり飲酒してんだ……。高校生なのに……。



 すると、そんな疑問だらけの私に会長は答える。




「……この子は、2年3組。火乃鳥火彩ひのとり ひいろ。ちゃんと高校生よ」





 ……へ? ほ……あっ…………。










 ……そんな事ある?


 


次回『二十歳な者』

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