世界に歓迎される心臓③
「…あれ?」
あまりの痛さに気を失って、目が覚めると真っ白な空間。さっきまでではないものの未だに心臓はチクチクと痛い。心臓発作でも起こして死んでしまったのだろうか。
「死んでないから大丈夫ですよ。」
頭の上で久しぶりに聞く声がした。なんとか起き上がると、
「イケ女…。」
「その呼び方はやめてください。」
そう言って彼女はいつかのようにテーブルセットへと促してきた。アタシ今心臓痛くて動きたくないんですけど。
「その痛みの説明をしますから這ってでも来てください。」
さっさと行ってしまったイケ女に少しムカつきつつ、仕方なく匍匐前進で向かう。これまた懐かしいテーブルセットには先客がいた。
イケ女みたいに中性的な美人さん。でも、椅子に座って足をプラプラさせてるのを見るに、彼女よりは幼いのかもしれない。
「初めまして。」
「…どーも。」
なんとか着席したがやっぱり心臓は痛いままだ。チクチクとした痛みから、鷲掴みにされているような苦しさに変わってきている。
そんな状態で挨拶されても丁寧な対応なぞ出来ん。
「彼女の心臓に負荷をかけるのを止めてあげなさい。」
「話し合いが終わるまでは無理です。」
なんと原因はこの子らしい。曰く、アタシが逃走しないようにしているとのこと。そもそもこの場所に出口あるの?
「貴女を待ってたんです。」
「アタシを?」
「はい。ずっと待ってました。」
ニコリともせず淡々と話す目の前の子に求められていた意味が分からない。顔の向きをイケ女の方に変えると溜息をついていた。
「彼は私と同じ立場でして。」
「神様的な?」
「そうです。貴女が今住んでいる世界のですね。」
「なんでアタシの心臓握って?るわけ?物凄く痛いんですけど。」
美少年は両手をぎゅっとしたままアタシを見つめ続けている。止めろと視線で訴えても無駄だった。
「まずは謝罪を。貴女の望む世界へが条件であるのにこの世界へ案内してしまったこと、申し訳ございません。」
「何かの手違いってことですか?」
「なんと言いますか…。私のせいであり、この子のせいでもありまして。」
イケ女に促されて美少年がぺこりと頭を下げる。謝罪と受け取るには軽いそれに、痛みの件も含めイライラしていると再度イケ女に謝られた。
「僕が貴女を強制的にこちらへ呼びました。飛ぶタイミングが分からなくて少し時間はかかりましたが。」
真顔で言い出す彼を殴ってもいいだろうか。
アタシの殺意を感じたのか与えられる痛みが強くなって突っ伏すことしか出来なくなったけど。




