世界に歓迎される心臓①
槙君に案内された席で友優と向かい合う。まさかこんな日がくるなんて。
「本道君はなっちゃんの新しい彼氏?」
「いや、違うけど…。」
さっきの会話聞こえなかったのだろうか。興味津々で尋ねてくる彼に既に離れたい思いを抱いた。
「だよねー。なっちゃんの好みは俺だもんね!」
「っっ!」
パッと笑顔になった友優に右手を取られて指を絡められた。もう遥か昔のものとなっていた体温に懐かしさを覚えて心臓が痛い。
「それより、本命彼女はどうしたのよ。」
「ん?愛美のこと?俺達デートしてる時にあの事故に巻き込まれてさー。白い女の人?に起こされた時は愛美はいなくて。どうするか聞かれたからとりあえず愛美がいる所が良いってお願いしたんだけど、まだ会えてないんだよねー。」
このままの状態だと流されてしまいそうで、なんとか振り払って両手を膝に置く。先程の質問を繰り返せば彼はペラペラと喋り始めた。
イケ女はアタシが最後だって言ってたから、その前に二人の対応もしたんだろう。なんで教えてくれなかったんだって文句を言いたいけど、個人情報だからって言われそうだ。
「そう。早く会えるといいね。」
「えー?もう24年も探してるのに見つからないんだよー?アイツに嘘つかれたとしか思えないってー。」
「誓約書ある以上それはないと思うけど。」
アレの効力は絶対なのは身を持って知っている。狩野さんの中の人の末路も見聞きしてるし。
この世界に飛ばされたのだけは未だに謎だけど。
「もう待つの疲れちゃってさー。」
「なんだかんだ彼女作ってただろうによく言うわ。」
「でも皆浮気して別れてるよー?」
本人がフラフラしてるんだもの、相手だってフラフラするだろうが。それで良い訳ないんだけどさ。
付き合う前にこれを見抜けなかった自分を殴りたい。まんまとハマッて今この時まで感情を乱してくるなんて。
「なっちゃんはなんでここに来たの?」
「…たまたまよ。」
誓約書の内容を言いたくなくて濁す。アンタを忘れるために色んな世界を転々としていたなんて言ったら、調子に乗る姿しか想像できない。
「えー?たまたまで俺と一緒の所来れるとか、やっぱり運命じゃない?」
「さっきも言ってたけど、ふざけてるの?」
「違うよー!だって、愛美には会えないのになっちゃんとは会えたんだよ?つまり、そういうことでしょ?」
いや、どういうことだよ。
遠くにいる彩子達にも聞こえていたのか、同じツッコミが聞こえた気がした。




