運命の人②
「いら…え!?」
「わー大智だー!久しぶりー!」
「いや久しぶりだけど。どういう組み合わせだよ?」
扉を開けて出迎えてくれた槙君がとても驚いている。そりゃ意味が分からないよね。
「僕となっちゃんが待ち合わせていた所に石井さんがいまして。松田さんは石井さんと約束してみたいで…。」
「でぇ、俺となっちゃんは元カレで元カノなのー。懐かしかったから、一緒にご飯食べることになったんだー。」
「はぁ!?」
飛びついた友優の言葉に槙君の素っ頓狂な声が響いた。そのまま彼は優ちゃんを見ているが、苦笑いを返されて更に混乱しているようだ。
これはいつご飯になるかなーと現実逃避を始めた時だった。
「諸悪の根源?」
「んな、彩子…。」
奥からお酒を片手に現れたのは彩子。今度は石井さんが動揺している。
そんな彼を見事にスルーした彼女はアタシの横まで来ると耳元に顔を寄せてきた。
「どういう状況?」
「なんで彩子が居るのかも謎だけど…。」
固まっている石井さん、友優に絡まれている槙君を放置して、優ちゃんとここまでの経緯を細かく説明する。言葉を発する度に彩子の眉間に皺が寄っている気がするが、それは自分もだと思うので見ないことにする。
「何なの、アンタ、那智のストーカーでもしてるわけ?」
「す!?そんなわけないだろう!?」
ゴミでも見るように彼女は石井さんに向き直った。流石にストーカーはないと思うよ。
そのまま二人は言い合いを始めてしまったので、優ちゃんと放置されてしまった。他のお客さんに迷惑じゃ?と周りを見たが、人がいる気配がない。それに気付いた優ちゃんに貸し切ったと教えられる。
「ごめんね二人共。今席に案内するから。」
「待って大智!先に俺となっちゃん二人でお話させて?」
解放された槙君がこっちに来てくれたけど、友優がピッタリくっついていて更にとんでもないことを言ってくる。その言葉に彩子達も静かになって様子を伺っていた。
「友優、流石にそれは…。」
「えーいいじゃん。ねぇ、なっちゃん?」
石井さんの制止もなんのその、目の前までやってきて覗き込んでくる顔に胸が締め付けられる。
道中覚悟を決めたはずなのに、早くも不安定になりそうな自分が嫌になる。友優もそれを分かっているからこんな行動をしているんだろう。
(ちゃんと話して、ケジメつけて)
頭で同じ言葉がグルグルしている。でも。でも。
「なっちゃん。」
横からの声にハッとする。伸びてきた手がアタシの耳に触れた。そこにあるお揃いモドキへの、あまりにも優しい触れ方に泣きそうだ。
「俺達あっちで待ってるから。なっちゃんの気持ち、ハッキリさせておいで。どんな結果になっても俺はなっちゃんのこと大好きだから。」
だから、最早告白なんだってば。




