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運命の人①

運命。

イケ女は【貴女を本当に愛してくれる人】って言ってたからそう表現するのは少し違うのかもしれない。でもアタシにとってはそう表現するのがしっくりきて、いつか出会うその存在を【運命の人】と位置づけていた。


「運命なんじゃなーい?」


その、特別が彼だと?


「なっちゃん?大丈夫?」


頬の涙を優しく拭ってくれる優ちゃんは不安を隠しもしない顔で覗き込んでくる。

温かい手、崩れ落ちそうになっている体を支える腕。酔っていたといえど、アタシを好きだと言ってくれた彼。

そうであってほしいといつからか願っていた彼が運命ではないと?


「大丈夫。」


思ったより冷静な声が出た。ぐちゃぐちゃな感情に振り回されないように一度深呼吸して抑え付け、優ちゃんの腕の中から抜けて懐かしい姿を再び視界に入れた。

元々年齢不詳な外見だったから、たいして変化は見られない。石井さんの友達ってことは今はアタシと同じ歳なのか。


「今の彼女はどうしたのよ。」


正確には当時同時進行していた女だけども。

言葉選びに慎重になりながら聞けば、友優はがっくしって音が聞こえそうなくらい肩を落とした。


「それがさー…っと。やっぱりどっかでご飯食べながら話そうよー。」


周りの目が自分達に集中し始めたからか、場所を変える発言が出てきたけど冗談じゃない。

これ以上一緒にいたら。


「いいですよ。僕達これから槙さんのお店行くんです。そこでお話しましょうか。」


まさかの優ちゃんが承諾して悪い方向に向かう思考がぶった切られた。石井さんも驚いてこちらを見ている。


「大智の店!?いいねぇ!アイツにも会いたかったんだー。卓斗、いいよね?」

「っあ、あぁ。二人が良いなら…。」

「構いませんよ。ついでに石井さんもボコボコにされるといいですよ。」


アタシを放置して繰り広げられる会話に動揺より疑問が勝つ。なんで優ちゃんが石井さんの名前知ってんの?とか、ついでにボコボコって?とか。

石井さんもそこは疑問に思ったようだが、これ以上好奇の目に晒されるのが嫌みたいで同行を決めていた。


(なんでこんなことに?)


前を歩く二人を見て、次に隣の優ちゃんを見上げる。彼もこちらを見ていてバッチリ目が合ってしまった。「可愛い」ってボソッと言ったのしっかり聞こえてるから。恥ずかしいからやめてほしい。嬉しいけど、こんな状況だし。


「一緒で良かったの?」

「いや、すごーく嫌だけど。でも、ちゃんとケジメつけて俺のこと見てほしいって我儘が勝っちゃった。」

「………最早告白。」

「あ!」


自分の発言にワタワタし始めた優ちゃんを置いて先を歩く。

そんなこと言われたら向き合うしかないじゃん。

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