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幸か不幸か②

夏も終わりに近いというのにまだまだ暑い。元々二次元作品なんだから、生前の環境に似せて作らなくても良かったのに。

タイミング悪く電車が行ってしまったので一度トイレに寄って化粧の確認。大丈夫、崩れてはいない。


(槙君にお店行くよーって連絡しとこうかな…)


優ちゃんと一緒だと驚かれるかなってスマホを手にしたけど、教えたらすぐに彩子に連絡しそうで怖い。どれだけ口止めしても、恐らくコレを口実に彩子を呼び出すに違いない。


(あー…あのメモ帳持って来るの忘れた)


誓約書付きメモ帳の存在を思い出して戻ろうか悩む。少し前から持ち歩くのを止めていたせいで完全に存在を忘れていた。そうこうしている間に次の電車が到着してしまったので、仕方ないと乗り込んだ。



◆◇◆



ここまでくると、実は彼が運命の人なんじゃないかって思う。


「…どーも。」

「会った瞬間からなんでそんなに機嫌が悪くなるんだ…。俺何かした?」


駅に到着して改札を抜けた後いつものカフェへ行こうとした所で遭遇したのは石井さんだ。エンカウント率高くない?


「あーイケメンだな憎たらしい。」

「それって褒めてる?」


平日のスーツ姿は勿論だが、私服姿もとんでもなくイケメンでつい口から溢れてしまう。流石乙女ゲーム。

聞けば此方に引っ越してきた友人と久しぶり会うのだという。


「石井さんって地元此処じゃないんですか?」

「いや、違うよ。俺と槙は大学進学を機にこっち出てきて、これから来る奴は地元に残ってたんだけど、いつの間にかこっちの方に来てたらしい。」


もっと早く連絡くれればいいのにーなんてスマホを確認している彼は楽しそうだ。その友人はなかなか気まぐれな性格らしい。


「そうなんですね。じゃ、アタシはこれで。」

「うん、っと、やっぱり待って!」

「なんですか。暑いからさっさとカフェ行きたいんですけど。」


駅前のカフェなので今も視界にばっちり入ってる。そちらへ足を踏み出したところで待ったをかけてくる石井さんに冷たい視線を向けると、とても気まずそうな顔をしていた。


「約束の時間になっても連絡来なくて今アイツから返信きたんだけど、今から来るって…。」

「はぁ、それはドンマイですね。」

「それで、あの、この後時間ある?」


これは嫌な予感。答えずに去ろうとしたら腕を掴まれて逃走失敗してしまった。


「アタシもこれから友人とランチなんです。無理です。」

「まだ何も頼んでないのに!頼む!時間潰しに付き合って!」


ほらやっぱり。そしてお願いだから、大声で騒がないで欲しい。


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