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バグか、期待か①

到着した駅はそこそこ大きい所だった。改札内にいい感じのカフェが二つほどあったから、時間潰しにも丁度良さそう。

食材は家から駅までの道中にあったスーパーでいいとして、まずは東口の方にあるショッピングセンターで他のものを揃えよう。ついでにお昼ご飯もすませたい。


(やっぱり知らないんだよなぁ)


スマホの地図だけでは分からない細かい所を実際に確認してみても、自分の知るどの作品にも当てはまらない。これは本屋に行って旅行雑誌を片っ端から読んでいくしかないだろうか。全国まで範囲を拡げれば知っている地名くらい見つかりそうな気がする。

そう思ってまずは本屋へ向かってみた。どの世界にも本屋はあったけど、現代のそれを見てホッとする。一つ前の世界はファンタジーの乙女ゲームだったから、タイミングが悪いとヒロインと攻略対象キャラがデートしていたりして複雑な気持ちになっていたものだ。自分達がプレイするみたいに最初から一筋に追いかけるということがないせいで、アタシの推し含め複数の人とお出かけしていたし。

まぁ楽しそうな推しはキラキラしていて眼福だったけど。


「いらっしゃいませ。」


レジ近くのドアから入ったらしく、店員のオネーサンから挨拶される。足元に店内マップが描かれていて自分の向かう場所が分かりやすい。ただゴールデンウィークだからかお出かけ特集が組まれているらしく、特設コーナーがあったのでマップを無視してそちらへ。

売れているのか有名なのかは分からないが一つの出版社から出ている雑誌ばかりだ。主要地域は押さえているようなので、とりあえずそのうちの一冊を手に取った。


(無い…知らない…聞いたこともない…)


表紙を見ても目次を見ても各観光地のページを見ても、自分の記憶にかすりもしない。別のものを確認してもそれは同じだった。

段々と焦りが生まれる。


(なんで?今まではちゃんと知っている作品に飛べたじゃない)


確かにランダム設定はしたけど、ちゃんと自分の知っている作品って希望していた。ここにきて何故?

やはりバグなのだろうか。イケ女に確認したいけど、いってらしゃいの前にこれ以降は会えなし連絡も取れないと言われている。


(これは来て早々また飛ばないといけないかな)


知らない世界だってきっと楽しいだろうけど、アタシはまだまだ多くの推しを間近で愛でたいのだ。こんな所に時間を使っていられない。

となれば早速次の希望を考えようと、雑誌を読みふけっているフリをして頭をフル回転させた。しっかり自分の希望が確定して飛びたいと思えばすぐにその世界とお別れできる。

今度はちゃんと自分の知ってる世界と強く願い飛びたいと思ったが。


「え…?飛べない…?」


雑誌の山に持っていたソレが落ちたのも気付かず茫然とした。

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