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遂にきた③

濡れた頬をTシャツで乱暴に拭いて、数の減ったフォロワー一覧をスクロールしていく。真ん中辺りまできてそのアイコンが視界に飛び込んできた。


(いい歳して何やってんのさ…)


仲睦まじい写真が設定されていたのは元彼、友優のものだ。高校生カップルくらいまでしか許されないであろう、見ていて恥ずかしくなるツーショットは精神をごりごり削ってくる。

あれだけ見るのが怖かったアカウントだったのに、躊躇わずにタップ出来たのは呆れが勝ったからだ。


(まぁ見た目は童顔で背も小さかったから若くは見えただろうけど)


声も高めで少し間延びした話し方が更に年齢不詳にしていた感じはあった気がする。

自分が最後に確認してからそこそこ更新されているけど、ある日を境にそれがいっさいなくなっていた。これまた驚くことに、あの事故の日だ。


(もしかして同じ電車に乗っていたの…?)


個人情報だからと他の被害者のことは何も知らない。自分と別れてから喜々として投稿していたであろうに前触れもなく更新が止まっているということは、可能性としてはあるだろう。


(もし被害者の一人だとしても流石に同じ世界に居ることはないはず)


だってここは推定乙女ゲームの世界。そういうものが好きではなかった彼がこの世界を望むとは到底思えない。あの世界で新しい人生を楽しんでいるんだろう。いや、自分が24歳だから同じくらいの年齢かと思ったけど、自分トータル100年以上生きてるんだった。もしかして二度目の人生終わってるんじゃ?


(それならもう友優という人間は存在しない…)


乾いた頬がまた濡れていく。同時に笑いが零れた。

別にざまぁみろとか思ったわけじゃない。フラれた時のような張り裂けるような痛みを感じで流れたものじゃない。自分でも表現が出来ない気持ちが今の状態だ。

でもこれはこれで良いきっかけになるんじゃないかなとも思う。指は再びトーク一覧を滑っていて、見ないようにしていた彼との画面を開いていた。


(最初は飽きるんじゃないかってくらいやりとりしてたわな)


スクロールしてどんどん遡っていくと夥しい量のスタンプ。当時30オーバーのアタシ、ハート使いまくってて気持ち悪い。それだけ浮かれてたんだけどさ。結婚だって考えたりもしてたし。

一番最初の挨拶まで到達した頃には鼻水まで出てたけど、誰も見てないから許してほしい。


何度も繰り返された、”なっちゃん”の文字に浮かんだ顔は。


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