サヨナラひとつ②
迷走中。
「平日のお昼ご飯にデリバリーでもいいんじゃ?」
「出来たてがいいんでしょうが。」
アタシのデリバリーだったけどとは言わない。後で予定確認…といっても残念ながら暇人なので彼女の都合に合わせることにする。
「はい、浮気野郎その2吹っ切れた記念かんぱーい。」
「ネーミングセンス…かんぱーい。」
二杯目が来た所でもう一度乾杯された。記念かはさておき、心配かけてたのは普通に申し訳なかったのでグラスを鳴らす。
「後は浮気野郎その1だけど、諸悪の根源はなかなか難しいか。」
「言い方よ。まぁ、連絡取れないし自分で何とかするしかないかなぁ。」
生前のスマホに連絡先が残っているけど使い物になんかならない。未練たらしく消せなかったトークのやりとりを眺めて思い出を昇華するしかないんだろうな。それが出来ずにこうしてグダグダしてるんだけど。
「そんで?話したいことあったの?夢以外で?」
「あぁ、そうだ。この前なんだけど…。」
日替わりのサラダに手を伸ばしながら先日の優ちゃんの話をする。あれから連絡無いけど生きてるのだろうか。船橋さんに聞くのも躊躇われる。
「ふーん。で、もう一回素面で告白されたとして、どうすんの?」
「……分かんない。どうしよう?」
「嫌いなの?」
「まさか!良い人だよ。でも。」
「諸悪の根源か。」
カチャカチャと行儀悪くフォークを使う自分を咎めるだけじゃない強い視線に縮こまる。
あの時はあぁ言ったけど、実際にちゃんと告白されたら断るか保留にするしか選択肢はない。友優のことを引きずったまま彼と付き合うのは失礼だし。
そう伝えれば、彩子は大きな溜息を吐いたあとグラスに残っていたビールを飲み干す。狙ったかのように店員が来て追加のお酒を聞いてくるに、槙君が奥で見ているのだろう。
「あのさ、前も言ったけど私達まだ若いの。やらかしてもまだ許されるの。」
「いや、まぁそうなんだけど。」
「いいじゃん、忘れるために彼を利用しても。向こうは事情知らないわけだし、楽しいこといっぱいで罪悪感なんて忘れてなんだかんだ区切りつけられるかもしれないし。」
アタシが繰り出すであろう言い訳をその前にシャットアウトする彩子は、これまたタイミング良く来たお酒を更に飲み干した。恐ろしい。
「忘れられると思う?」
「それは那智の気持ちと向こう次第じゃない?」
「…分かった。引き続き頑張ってみます。」
答えに満足したのか今日1番の笑顔の綾子はとても綺麗だ。槙君が見たら悶えそう。ちょっと見てみたい。




