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彼と彼女とアタシ⑥

流石に分断されることは予想していなかった。兄弟喧嘩はこの後なのだろう、自分のキャラがいる画面から変わらない。悪友の戦闘スタイルは何だったか。整備士である彼女は攻撃面が優れているわけでは無かったはず。

こちらは遠距離の自分に同じく遠距離で投擲メインの子、回復役の子の三人。投擲はアイテムやその辺に落ちてるものを身体強化の魔法をかけてぶん投げるというものだが、先程見た通りこのフロアの物は何もない。

つまりアタシしか戦える奴がいないわけだ。


「これは、なかなか厳しいぞ…。」


戦闘に入ってすぐにアイテム欄を開き、投げても問題なさそうな道具を探す。鉄屑ってダメージいくつになるんだっけ?回復二人でいくしかないのか?

元幹部さんに参戦してもらおうとも考えたのが、主人公は別の場所にいるだけで戦闘には参加しているからか追加も出来ず。

これは長期戦になりそうだ。


「ゲージは…うん。」


スキルゲージを使用した必殺技はすぐにでも使えるので早々に撃ち込んでしまおう。もう一度使えればいいんだけど。攻撃を喰らった彼女はまだまだ元気そうで、どのくらい削れたかも分からない。

悪友はお手製の手榴弾をひたすら投げてくる。それらは投擲のキャラがスキルで上手く引き付けてくれてこちらにダメージはないので、回復の子にもそっちに集中させる。

ゲージが溜まるまでは同じことの繰り返しで早々に飽きてきた。こんなことならアナライズのスキルを持つキャラを仲間にしておけば良かったと後悔。一定値まで削れると敵キャラの名前の色が変わるから、それを目安にしておけば大丈夫だって思ってた自分にデコピンをしたい。


『アンタさえいなければ…!』


画面から目を離してポチポチするだけの状態でいたら今までにない一文が表情された。悪友の顔が歪んで更に凶悪になっている。アンタってアタシのキャラのこと?

疑問に思ったがそれだけですぐに戦闘に戻ってしまったのでモヤモヤする。彼女の名前の色が変わったところでゲージが溜まり、2回目の必殺技を撃ち込めばそのまま暗転した。


「やり直しせずに済んだ…。」


初めての展開でワクワクはしているけど、時間がかかると今日中に終わらせるのが難しくなるのでサクサクいきたい。

兄弟喧嘩はラクに終わるといいんだけど。

始まったムービーは元彼のどアップからで思わずゲームを落としそうになった。瞳が画面いっぱいは何事かと思うわ。


『兄さんはずるい。僕が欲しいと思うもの、全部手に入れてて。』


あぁ、確かに実際一緒に居た彼も兄に嫌悪を抱いてる感じはあったな。あの世界でだけのことかと思ったけど、元々そういうキャラだったようだ。


『ねぇ、兄さん。僕に、ちょうだい?』


欲しいものが何を指しているのかハッキリしないまま戦闘になった。すっかり闇堕ちモードの彼は、画面の向こうで歪な笑顔を浮かべている。普通に強そう。

それでもプレイ開始時からずっと育ててきた主人公(脳筋タイプ)に瞬殺された。ごめんよ元彼、主人公の成長タイプを物理攻撃に特化させてたからダメージがえげつなくて、思わず笑ってしまった。

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