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彼と彼女とアタシ②

『見てよナチ!私史上最高傑作!』

『良かったねナチ。早速試しに行くかい?』


『ナチも一緒に行こう!』

『兄さん達と一緒に世界を救おう!』


『あれ?ナチはまた1人で出掛けたの?』

『そうみたい。まぁ、そっちの方が好都合なんだけど。』


「………最悪な夢だ。」




◇◆◇




「朝も思ったけど、酷い顔ね。家で飲み過ぎた?」

「夢見が悪くて。昨日電話ごめん。」

「気にしないで。嫌な夢見ただけでそんな顔色になる?早退する?」


最悪な目覚めを熱めのシャワーを浴びて振り払った後にスマホを確認したら丁度寝たくらいの時間に彩子から着信があった。どうせ会社で会うしと掛け直すこともせず、少し重い体を無視してギリギリに出勤すれば皆に心配された。

そしてお昼休憩の今、彩子にもそう言われたんだけど。


「別に早退するほどでもないよ。」

「…夢の内容聞いても?」


躊躇いがちに聞いてくる彼女が可笑しくて、あのゲームの元彼と悪友の話を嘘を混じえて話す。


「那智って浮気する男に惹かれるわけ?」

「そんなことないよ。…2人だけだったはず?あれ?その前もだったかな…。」

「これは知らない所で浮気されてた可能性大ね。」


それは自分も考えていたことだけど、ハッキリ言われるとグサッとくる。男見る目がないのだろうか。


「んで、忘れられない男はそのネックレスの奴と?」

「うん。…友優っていうんだけど。」

「じゃぁ最低でもその男以外のクソ野郎のせいで那智が傷付くことないわよ。」


フラレた当初ならともかく、友優以外のことで未だに傷付いているんだろうか。あまり自覚はないけど、周りからそう見えるんだろうか。

そんなことはないと否定したくても、彩子は浮気男に対する呪詛を吐いている。石井さんを思い出してるんだろう。やはり彼と会ったことは秘密にしておいた方が良いと判断した。


「槙君も言ってただろうけど、そんなに深く考える必要ないと思うわ。私達まだまだ若いんだし、そんな最低男のこと考えてる時間勿体なくない?」

「それはそうなんだけど…。」

「デモデモダッテはやめなさい。吹っ切るキッカケが欲しいなら、ダメ元で話し合ってみれば?」


真っ直ぐ見つめてくる彼女の目が怖い。今のままじゃ駄目だって自覚があるから余計に。

これから出会う運命の人にも失礼なのも分かってる。

一度告白してくれた優ちゃんにも。


「話し合いはちょっと無理だけど、…少しちゃんと考えてみる。」

「言質は取ったわよ。んじゃ、今日はもう帰りなさい。」

「いや、それは…。」

「上司達がめちゃめちゃ心配してた。安心させる為にもゆっくり休んで来週から頑張りなさい。」


幸い金曜で午後は暇だしねと言う彩子も勿論心配していると。ここは甘えるのがベスト、お礼を言って半分も減っていないお弁当箱を片付けた。


「あ、明日の夜槙君の所飲みに行きましょ。」

「ゆっくりしろって言ったのにそれかい。」

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