確定演出が出ない①
メリークリスマスです。
「結局二人がどうなったか分からなかった…。」
「だいぶ離れた席だったっぽいししょうがないよ。」
あの後彩子達の動向が全く分からないまま退店。会計時に鉢合わせもしなかったので、まだ居るのか先に帰ったのかも知らず。まぁ彼女のことだからまだ飲んでいそうだ。相手が槙君だから安心して任せられるからこの後の心配はしていない。
「時間微妙だね。まだ飲む?」
「んー。アタシは飲めるけど、優ちゃんだいぶキツイでしょ。」
ハシゴの提案に彼の様子を確認してそう返せば、実は…と気まずそうに視線を逸らした。いくら彼の家が近いと言えどこのまま解散して無事に帰宅してもらえるか心配なので、嫌がる彼の背中を押して家までの道案内をお願いした。
自分よりずっと大きい背中が視界を占めてる。身長180㎝ってこんなに顔の位置が高いのか、毎回見上げて首が痛くなりそうだと元彼と比較する。あの人は165㎝しかなかったから。顔が近いからキスしやすいねって笑ってたのが懐かしい。
「女の子に送ってもらうなんて…。」
「飲み過ぎた自分が悪いんですー。次どっち?」
アタシの支えなく歩行は出来ているけど、それすら危うかったらタクシーしか選択肢がなかったなと思う。流石にこの大きい体を支えて歩くのは無理だ。足掴んで引き摺るのも難しい。
交差点を渡ってコンビニのある方に曲がった。せっかくなので水を買おうと寄る。自分の分もと二本手に取ったがすぐに横から奪われて会計を済まされてしまった。
「送ってもらうお礼です…。」
「別にいいのに。でも、ありがと。」
冷えた店内から暑い外に出たことでペットボトルが汗をかく。ハンカチを取り出して彼の分も水滴を拭き、口を付けながら歩みを再開した。
酔っても自分はたいして変化はないが、優ちゃんは無口になるようだ。よく見ると眠そうにしている。これは部屋に戻ったらそのままベッドにダイブだな。
大通りに出てそのまま沿って歩いて少し。いくつかあるマンションの一つの前で止まった。どうやら到着したらしい。
「お、ここなんだね。」
「うん、ここの三階。」
階数までご丁寧に教えてくれたのでエレベーターまで送ってやるかと思ったが、どうやらオートロック付きらしい。ならここまででいいだろう。
「じゃぁアタシは帰るよ。今日は付き合ってくれてありがとう。」
「全然平気。むしろここまでごめん。」
「気にしないで。」
それだけ言って回れ右をしたところで右手を掴まれた。体調悪くなったかと振り返ったがその気配はない。
「なっちゃん。」
「何、どうした?」
「なっちゃん。」
「んー?」
「好き。」




