人のこと言えない②
「優ちゃんは彩子がこの前ご飯行った人って知ってる?」
「うん。協力会社で亮君が仲良くしてる人なんだ。一回だけ一緒に飲んだことあるけど、あの人なら彩子さんともいい勝負が出来そうだよね。」
ちびちびとハイボールを口に含む優ちゃんはこの前の飲み会を思い出したらしい。げんなりとしているのを見ると同情しかできない。確かにお酒が強いってだけで評価は高いだろうけど、それなら槙君もなかなかだし。やはり友人としては彼を応援したいが。
「決めるのは彩子だけどさ。アタシ的にはやっぱり槙君とくっついてほしいかなぁ。」
「俺は何とも言えないけど、槙さん?もお酒強そう。」
「強いというか、自分のペースを崩さずに飲める人みたい。だから彩子の勢いとか圧を軽くいなすってさ。」
以前槙君のお店で彩子と飲んだ時の二人を思い出す。仕事中の彼は飲んでいなかったけど、飲みの時もこんな感じだって彼女が愚痴っていた。石井さんと三人で飲みに行った時の話だった気がする。
アレをいなせるのか…、と尊敬の色が混ざった声で優ちゃんが呟いている。まぁアタシも釣られて飲み過ぎたりするから分からなくもない。
「なっちゃんはお酒強い人の方が好き?」
「うーん、どうだろう。アタシは結構飲むけど別に相手に同じくらいを求めることはないかなぁ。寧ろ飲み過ぎた時に介抱してくれるとありがたいから、飲めないくらいな人の方がいいのかも。」
昔元彼と飲んだ時はどうしていたっけ?
確か弱いのに無理して飲んでトイレに駆け込んだ彼を、介抱した後なんとか自宅まで送り届けたんだっけか。それを見てから回数控えてたな。槙君みたいに自分の限界をしっかり把握していてペース配分出来るならいいけど、それが無理ならアタシのフォローに回ってくれた方がいい。
「なっちゃんも相当強いんだし、飲み過ぎなんてないんじゃ?」
「強いかもしれないけど、合わないお酒だった時はちょっとしんどくなる時あるよ。ビールとワインは苦手なんだけど、仕事の付き合いでどうしても飲まなきゃってなるとちょっとね…。」
「確かに、なっちゃんってだいたいカクテルだよね。メニューに無いとずっとハイボールだし。日本酒は?」
「飲めなくはないかな。自分から進んで飲みはしないけど。」
そういえば最近日本酒飲んでないな。最後に飲んだのは生前の観光地にあった酒蔵の試飲だったか。
こっちにもそういうのあるなら行ってみたいけど。
「俺の実家の方に有名な酒蔵があるらしいんだけど、今度行ってみる?」
「そうなの?でも優ちゃん飲める?」
「ちょっとなら。」
親指と人差し指がほぼくっついている状態はちょっとと言えるのだろうか。




