人のこと言えない①
ストックがなくなってしまった…。またちまちま更新していきます。
「なっちゃんおまたせ!」
「おー、お疲れ様。」
週末。
槙君達が気になってゲームが手に付かなかったので、ダメ元でお昼に優ちゃんに飲みのお誘いを送ったら5分もしないうちにOKの返事がきた。今日は近い現場だからすぐに返って準備するねと可愛いクマさんスタンプ付きのメッセージにホッコリしたのは内緒だ。
「急にごめんね。」
「いいんだよ。なっちゃんとご飯行きたかったし。それで、なんでこんなにコソコソしてんの?」
待ち合わせに指定した場所は本日槙君達が利用するお店のはす向かいにあるコンビニだ。雑誌コーナーで気配を消しているアタシに優ちゃんは不思議そうにしている。
先週末の話から本日に至るまでのアタシと槙君のやり取りを聞いて、
「なるほど。それで気になって尾行していると。なっちゃん、この前の亮君みたいだね!」
「うっ。」
なかなか重いパンチを喰らった。あの時の船橋さんにだいぶ呆れていたけど、今その気持ちを優ちゃんが持っていないことを祈ろう。
予約の時間はもうすぐなはずで、そのまま二人でコソコソ話していたら視界の端っこに見覚えのある男が。
「あ、槙君だ。」
「へぇ、アレが…。」
意味ありげな言葉を紡いだ優ちゃんはバレるとマズいと続けて、中央のお菓子の棚に誘導してくれる。顔が割れていない、かつ背が高い優ちゃんに入店の確認をしてもらってから自分達もそちらに向かう。お店の予約は運良く同じ時間に出来たけど、流石に席までは良い所に案内はされなかった。
前回気になってはいたけど頼めなかったお酒と料理を早々に注文し、お通しと一緒に先に来たグラスを合わせる。
「改めてお疲れ様ー。」
「ありがとう。もうホント、仕方のないことだとは分かっているけど、この時期はめちゃくちゃ暑くて余計疲れるよ。」
店内の照明が暗いからよく見ないと分からないけど、確かに前に見た時より日に焼けている気がする。例年より気温も高いというし、生前と同じで温暖化は深刻らしい。この世界にも環境活動家とやらはいるのだろうかと有名だった人物を思い浮かべる。
「それ、着けてくれてありがとう。」
「ん?あぁ、これ?デザインも好きだし着け心地も良いから、ほぼ毎日お世話になってるよ。」
狭い個室のせいでアタシの耳に簡単に手を伸ばして触れてくる優ちゃんはずるいと思う。こんなんイケメンにやられたら何とも思ってなくてもドキドキするわ。




