上手くいってると思いたい②
今日は確認だけだったので、ドリンクを受け取ってそのまま店を出る。外はさっきより少しだけ暗くなっているけど気温は下がっていなくて暑い。カップを傾けて水分を取り込めば、柑橘系のサッパリした味に少しだけ暑さが緩和された気がした。
あっという間に飲み終わってしまったので駅のごみ箱にカップを放り、改札を抜けてすぐに来た帰宅ラッシュの満員電車に乗り込む。人の熱気で気持ち悪くなりそうだ。
(ご飯は素麺茹でるだけでいいや)
近所のスーパーで買いだめした素麺を何束茹でるか考えてれば最寄り駅に到着。後ろから強く押され危うく転びそうになったのを何とか耐えて下車し、ちらりと犯人を見る。でっぷりしたオッサンがアタシと同じように押されてバランスを崩した女子高生に舌打ちをされていたが、気にも留めずにズンズンとエスカレーターに向かっていた。
(あぁいうの、死ぬ前にも居たなぁ)
生前はオバサンがぐいぐい押してきて文句も言われたなぁ。
長い列が出来ていたので階段を使ったら、上りきったところで先程のオッサン。周りに迷惑かけて急いだってたいして変わらないじゃんと心の中で嘲笑してその前を歩いた。
◇◆◇
「ご飯食べた、シャワー浴びた、明日の準備もした。」
帰宅してやるべき事は全て終わらせ、クーラーでガンガンに冷やした部屋でゲームの続きをする。
日曜に帰宅した後は新しいアクセサリーと意味もなくにらめっこして時間を使ってしまったので進められなかった。今日はどこまでやろうか。
(武器の強化したいから素材集めかなぁ…)
二人だけで進めていくにはどうしても火力が足りないので強化が必要になるけど、ある程度キャラのレベルが上がっちゃうとそこからはしょぼい経験値では足りなくなっちゃうし。武器はまだこの辺りの敵のドロップする素材でなんとかなるからそっち優先かな。
強化に必要な数を確認してダンジョンをウロウロする。目当ての敵を見つけて突撃するもなかなか落としてくれなくてちょっとイライラする。
(あー…さっきの街で仲間になる奴のスキルが必要だったな…)
ドロップ率を上げるとかだったよなぁと思い出して後悔した。これはクリアするまでに相当時間かかるのでは?
(くそー、あと一個なのに…!)
一度休憩を入れようかとゲーム機をテーブルに置いたところで着信があったことに気付く。ちょうど始めた時にあったみたいだ。イヤホンしていたせいでスルーしてしまった。
履歴を見ると槙君からで、アタシが出なかったからかメッセージがすぐ後に届いていた。
(今週末彩子ちゃんとご飯…おぉ?随分とまた急に?)
最初の一文はお店の休業案内で、下に続いたその理由にビックリ。恐らく詳細を話したくて電話をしてきたのだろう。これはなかなか良い流れなのでは?
今掛け直しても大丈夫かなんて気にせず通話マークを押してしまったアタシは、作業ゲーに疲れていたとこの数十秒後に気付く。




