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【sideY】慌てる男

「はい、それでは第一回・那智への愛を語る会始めまーす。」

「ネーミングセンス皆無…。」

「おだまり。はいかんぱーい。」


カチン。

三つのグラスを軽く合わせて音が鳴る。最初からハイペースな向かい側の彼女はあっという間に飲み干して追加を頼んでいた。

田沼妹、もとい彩子さんに協力を求めてからさっそく週末に作戦会議(ネーミングセンス最悪)という名の飲み会が開かれた。参加者は彩子さん、俺、亮君。姉ちゃんは今回は不参加だ。


「さて本道君、現時点での那智の君に持つ感情だが…。ただのワンコだ。」

「わ、んこ…!?」

「ご主人と居るのが嬉しくて尻尾ぶんぶん振り回すワンコにしか見えていない。つまり、まったく恋愛感情に発展する気配はない。」

「そんな…!」


彼女の口から出てくる言葉にショックしかない。隣で何故か共感している亮君にはパンチをお見舞いしておいた。めちゃめちゃ文句言ってくるけど、亮君が悪い。

俺、ワンコ属性なんて言われたことないけど。


「なっちゃんはどんな男が好きなの?」

「んー、少なくとも外見を重視するタイプではないみたいね。私の元彼もその友人も結構なイケメンだったけどキャッキャしてなかったし。」

「それは喜ぶべきなのか…?」

「あとは、勿論だけど浮気は駄目ね。前の彼氏が浮気したとかなんとかでかなり酷い別れ方したみたい。」


続く彼女の言葉に以前ご飯に行った時のなっちゃんを思い出す。

【なっちゃん】と呼ばれた時の彼女の反応。

きっとその男が呼んでいたに違いない。あんなに可愛いなっちゃんを大事にしないで浮気するとか、なんて最低な野郎なんだ。


パシャ


「ん?彩子ちゃん何してんの?」

「いや、私達がこうやって集まってるの知って那智がどんな反応するかなって。」


シャッター音に反応した亮君が料理から彼女に視線を移す。どうやら俺達をバックに写真を撮ったらしい。

どんな反応って。多分楽しそうだねぇって可愛い笑顔で見るんだろうな。あ、でも、自分とはご飯行かないのにーってちょっと拗ねて欲しい気もする。絶対可愛い。


「お、既読早いな。って、はぁ?」


送ってすぐになっちゃんが反応してくれたのだろう。その内容を確認していた彩子さんの目が見開かれれた。意外な返信だったのだろうか。


「杉浦さんどんな感じ?」

「なんか、さっき言った元彼の友人と二人でご飯だったみたい…?」

「はぁ!?なんで俺以外の男と行ってんの!?」


料理の写真だけだけどそんなことで嘘はつかないだろうし、なんてスマホを見せてくれる。いやいや、なっちゃんの向かい側の席に男性っぽい人座ってるじゃん。料理だけじゃないじゃん。酔っ払い、ちゃんと確認してくれ。

てか、今日この会が無かったらなっちゃん誘えたかもしれなかったんだよね?なんで俺OKしたんだ?炎天下の中の仕事で頭おかしくなった?


「俺ちょっと外出てくる!」


後ろから二人の制止する声が聞こえた気がしたがスマホ片手に店を飛び出す。

後で怒られてもいい。今はなっちゃんに確認しなきゃ!

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