内緒話①
「うおー、いい天気だー。」
サンルームで洗濯物を干し終わり大の字に寝転ぶ。まだ早い時間だから室内はそこまで暑くなくてこのまま二度寝ができそうだ。
狩野さんを置いて帰った日。帰宅してなんとなくメモ帳を確認したら、彼女との会話中に抱いた疑問への返答が追加されていた。世界の判断が優先されるとのことで、強制的な世界移動はないらしい。だから違反はするなと。彼女のようになると。
(知ってる世界ならともかく、知らない世界で違反は難しいわ)
しかも狩野さんのせいで既に元々のストーリーからだいぶかけ離れているだろうし、これ以上捻じ曲げることは無理でしょ。
流石に床で寝続けるのは体が痛くなってしまうので早々に起き上がって部屋を後にする。何も予定がない
週末。昨日の仕事帰りにお酒等々は買い込んであるので本日は引きこもりだ。昼からお酒を飲みながらゲームする、なんて贅沢なんだ。
(まさかこの世界にコレがあるなんて思わないし)
ネットショップでぽちった携帯ゲーム機とソフトをテーブルに置いてまじまじと見てしまう。バグなのか、この世界の作品を作った人が取り入れていたのかは知らないけど。
ビビットカラーの服に身を包んだキャラクターがそれぞれの武器を構えているパッケージデザイン。先日アタシが衣装部屋で着た物とよく似ている。というか、その世界である。
見つけた時は絶叫したよね。アタシが生前やっていた時はスマホゲームだったけど、ネタバレサイトとかを見る限り内容はそのままだった。
パッケージ右上で自分が使っていたショットガンと同じものを構えているキャラは懐かしの元彼だ。その下には悪友もいる。こう見ると、実物の方が顔面偏差値高かったな。
(別にもう何の感情もわかないけど、素面でやるのはなんというか…)
冷蔵庫から季節限定の言葉につられて購入してしまった缶チューハイを取り出して開ける。うーん、ちょっと甘すぎな気がする。
ソフトを入れたゲーム機を持ち、一度深呼吸して電源を入れる。パッケージと同じイラストのスタート画面はスマホの時と同じだ。【はじめから】を選択すればすぐにキャラメイクが始まった。
(前とは違う子作りたいと思っても、愛着があるせいか同じのになっちゃうんだよなぁ)
当たり前のように指は衣装部屋にあるセットを選択していく。せめてもの違いとして瞳の色だけを変えたが。
完成した自分の分身に苦笑いしてプロローグ諸々をスキップする。もう三回目だからね。システムもまったく同じだし。
このRPG、自分とは別に世界を救う勇者みたいな主人公が居て、彼に誘われて行動を共にするのが始まりだ。所謂陰キャな主人公はそこからは自ら動くことはせず、プレイヤーが先頭に立ってダンジョンを進んでそれに付いてくる感じ。
ストーリーが進めばどんどん仲間が増えていくわけだけども、その時の主人公のステータスによって仲間になるかどうかが決まる。そこで仲間にならないとそれ以降そのキャラは出てこなくなるので、全員連れていきたい場合は序盤のステータス上げが必須になる。レベル上げの作業とランダムでドロップするアイテムを使用していくのがだいぶしんどかったなぁ。
今回はするつもりないけどね。




