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【sideY】噛みつく男

「はぁ!?なんで亮君がなっちゃんとご飯行ってんの!?」


やっと梅雨入りしたとある日。前日からの雨が今朝になって更に勢いを増した為仕事は無し。

早朝の連絡の後そのまま昼まで二度寝をし、空腹で目覚めたところで亮君から夕飯のお誘いがきた。快諾の返信をして軽く腹を満たして、時間まで溜まっていた家事をこなしつつ普段構ってやれていないコナツを抱っこして動画視聴。

なかなか有意義な休日だと満足して待ち合わせの店に向かい、亮君と合流。ここ最近は現場が被らなかったので顔を見るのは久しく、ぽつぽつを世間話をしていたところにこの義兄は爆弾を落とした。


「彩子ちゃんが紹介した奴とご飯に行く日にたまたまだよ。俺の尾行に付き合ってもらっただけ。」

「いやいや、そんなの亮君一人でやればよかったじゃん!それか俺を呼んでよ!?」


少し前になっちゃんの友達の様子を見に行った時に巻き込んだらしいが、俺の気持ちを知っていて何故二人で行ったんだ!言ってくれればすぐに向かったのに!


「お前のとこの現場は普通にあったし、なんなら残業だっただろうが。」

「ぐっ…。」


確かにあの日は作業の進みが悪く少し残業をしていた。更に渋滞に巻き込まれて帰宅時間が遅くなった記憶もある。

だからって亮君だけなんて、ずるい。


「まぁまぁ落ち着けって。……あの子、良い子だったよ。」


騒ぐ俺に苦笑いで対応する亮君は、何かを思い出してしみじみしている。

良い子なのは知ってる。可愛いし、いい匂いするし。


「何当たり前なこと言ってんの亮君。浮気?」

「ふざけんな。」


これは姉ちゃんに報告案件かとジト目を向けると低い声で否定された。亮君が姉ちゃんにべた惚れなのは分かってるけどさ。


「俺達って仕事柄見下してくる女が多いじゃん?」

「まぁ…。職業聞かれて良い反応をもらったことは多くないけど。」

「あの子が会社の人にお前と居る所を見られてて聞かれた時にやっぱり馬鹿にされたみたいなんだけど。めちゃめちゃ怒ってくれてた。俺達みたいな人が自分達の生活を快適にしてくれてるんだから、感謝こそすれ馬鹿になんかできないって。」


その話をした時のことを思い出しているのだろう、面白そうに教えてくれる亮君。

それを聞いた俺といえば。


「最高すぎる俺の嫁…!」

「いや、まだお前のじゃねぇだろ。」


感動に打ち震えて思わず出た涙におしぼりを当てる。

勿論亮君のツッコミなんて聞こえてない。

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