運命の人よ、どこにいるんだ①
奢ってもらったお礼を告げてすぐに解散した後、帰る間もなく彩子からの着信があった。駅前のカフェで待って居ろとの指示があったので大人しくアイスコーヒーと共に待つ。
彼女がやってきたのはそれから10分程経過してからだった。
「お疲れ。どうだった?」
「なんで船橋君と一緒に…って、どうせ彼に同行をお願いされたんだろうけどさ。」
「コソコソしてるの見つけて声掛けちゃってねぇ。」
流石よく分かっていらっしゃる。怒ってはいなそうなので安心。
「船橋君は大人しく帰ったのね。」
「何かあってもシスコン兄貴が何とかするだろって言ってた。」
「あー…、まぁそうね。隠してても飛んで帰ってきそう…。」
遠い目になった彩子にシスコン兄貴について尋ねてみる。船橋さんと同じ年齢のお兄さんは昔から彩子にベッタリのようで。未だに彼女も作らず、実家住まいの彩子に会うために毎週帰ってきては彼女の恋バナを聞いて怒っているそうだ。
よくある、お兄ちゃんが認めた奴以外は許さんってやつかな?
「もうこの際那智がアイツもらってよ。」
「えぇ?彩子のお兄さんを?」
「そうそう。石井さん程じゃないけど、イケメンだし。」
はい、と手渡されたスマホにはこちらを睨みつけている綾子と満面の笑みの男性。これがお兄さんなんだろう。彩子とよく似ている。
「アタシは遠慮しとく。そもそも、しばらく彼氏作る気ないし。」
「えー?槙さんにしろ兄貴にしろ、なんなら石井さんにしろ、顔面偏差値は高くていいと思うけど。」
いや、石井さんは絶対に無い。そんで、アタシは顔面だけで選ぶ女じゃないぞ。
「なによー。そんなに例の元彼が良かったの?写真とか無いわけ?」
「……写真は家に飾ってある。浮気されてフラれるまでは良い男だったよ。」
「いや、それ全然良くないから。」
彩子のツッコミをスルーして、衣装部屋に飾ってある写真を思い出す。世界が変わろうと必ず在るアレに、何度心臓を鷲掴みされたことやら。
好奇心剥き出しの瞳が向けられて仕方なく大雑把に説明したら、今日の格好に似合わない舌打ちが聞こえた。
「なぁにが幸せに出来ないだ。幸せにするって断言出来ないなら恋愛すんな。もげろ。」
「流石にそれは横暴…。」
「だってそうじゃん。てか、幸せの基準って何よ。そんなん個人で違うんだから、勝手に決めつけて諦めてんじゃないわよってね。まぁ浮気してるんだからそれ以前の問題だけど。」
やだこの子格好いい惚れそう。




