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一人ファッションショー④

その後も懐かしさを感じながら服を眺めていると、2つ前の世界で着ていた制服が目に止まった。

最初の世界を除けば一番長く居た世界だ。思い入れがどの作品よりも強かったので、原作前から飛んで生活していた。幼少期から始めるのも最初以来初めてだったので両親がいたが、これまた美男美女でモブにあるまじき顔面偏差値で過ごせて感謝していたのを覚えている。

小学生時代は残念ながらキャラクターの誰とも会えなかったが、中学にあがるタイミングで両親の海外出張が決まって一人残ることとなり、セキュリティ万全なマンションに引っ越した際にやっと遭遇できたのだ。

それが後に彼氏になるわけだけど。


(そういえば、この世界のアタシは火事で亡くなったって書いてあったけど、マンション大丈夫だったのかな…?)


全焼していたら元彼は大丈夫だったのだろうか。新しい彼女作ったって書いてあるくらいだから生きてはいるんだけど。怪我もなく無事なことを祈ろう。

そのまま横の、最後の服に目をやる。やはり購入時の新品さが違和感。


(あのまま死亡フラグさえ立たなけりゃ推しが生き続ける姿を拝めたのになぁ)


一つ前は推しが早い段階で退場してしまう世界だったので、どうにか生存ルートが発生してくれないかと思っていた。やはり無理と諦めかけた所でまさかのどんでん返しな結果になり、瀕死ながらも生きていてくれたことにギャン泣きしたなぁ。遠くからそっと眺めて感動していたら自分が死亡ルートに入ったわけだけども。


(推しよ…長生きしていてくれ…)


さっきのビビットカラーとは真逆の真っ黒な服を着てみるが、割と最近まで着ていたからかそこまで恥ずかしさはなかった。立て掛けてある釘バットを右手に持ち、周りのものを破壊しないように一振り。これもよく手に馴染んでいて、懐かしさに泣きそうだ。なんで釘バットだったのかは未だに分からないけど。


(まだまだ色んな世界に行きたかったのになぁ…)


海の上の冒険もしてみたかったし、やりこんだ乙女ゲームの世界でゲロ甘な展開を眺めてもみたかった。

まさかこんなタイミングで所謂運命の人に遭遇するなんて。


(いや、一目惚れされただけで誰なのかも分かっちゃいないんだけどさ)


いつの間にか窓の外はオレンジ色に染まっていた。思ったより楽しかった時間は終わりだ。いつもの部屋着に戻るのが少し残念な気もするが仕方ない。

トルソーに服を戻し、持ってきた掃除用具と共に部屋を出ようとする。入った時から敢えて視界から追い出していた窓際の写真にチラリと目をやり、捨てられない自分に吐き気がした。

人間が五感の中で最初に忘れると言われている声がアタシの名前を呼んだ、なんてただの気のせいだ。

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