一人ファッションショー③
次に目に入ったのは一人で着るには難しいドレス。これは悪役令嬢ものにハマっていた時期にお気に入りだった作品の世界のものだ。
ヒロインが転生者であることが分かると発覚したのがこの世界だった。なかなか性格の悪い人間が中に居たらしく、自分が動かなくてもストーリーは滅茶苦茶になり令嬢達以外幸せになることはなかった。ヒロインの魅力に憑りつかれたイケメン貴族達の婚約者である令嬢達は勿論ヒロインに嫌がらせをしていたのだが、ある日を境にそれがパッタリと止まった。憑き物が落ちたかのようにスッキリした顔をしていた彼女達は揃って婚約解消を申し出て、傷物令嬢同士仲良くしていたのを遠目に見たことがある。一応伯爵家の令嬢であった自分は時々彼女達のお茶会に呼ばれることはあったけど、特別仲が良かったわけじゃない。
飛ぶ少し前にヒロインが自爆してイケメン達が目を覚まし、彼女達に許しを請おうとした時には既に遅し。彼女達はもう何も怖いものはないと学校を中退し、隣国の学校に編入していた。
(その後がなんかグダグダしててつまんなくなって飛んだんだよなぁ…)
これは流石に着れないと眺めるだけにして、その横で主張している服を見る。
(今見ると、よくこんな格好してたなアタシ…)
近未来モチーフのRPGゲーム世界だった時に着ていたものだけど、ビビットカラーが目に痛い装備だ。ゲームで遊んでいた時と同じで、この時も遠距離タイプを選んでいた。
(武器は…おぉ、銃刀法違反になりかねない)
同じくビビットカラーのショットガンが隣に鎮座している。これだけ色が凄いと逆に玩具だと思われるか。当時の悪友に改造してもらって通常の威力の倍の攻撃力になっているけど。
そういえば、死んでから初めて彼氏を作ったんだよなぁ。主人公の弟だったからやたらストーリーに巻き込まれた思い出が。何度死にかけたか。
(彼氏は…結局悪友とくっついたんだっけ)
浮気する男に縁があるのかと嫌になったのもこの時だ。彼氏と悪友がコッソリ会ってイチャイチャしているのをたまたま見てしまって、泣くことも出来ずに一人でダンジョンへ向かい死ぬ間際に飛んだ気がする。ソロ攻略での生存率10%エリアはゲームの時から鬼畜だったけど、実際に体験してみると本当にヤバかった。
万が一暴発したら危険なので、服を着替えずにショットガンを手にする。しっくりくる感じにテンションが上がり、思わずポーズまでとってしまった。
何をやっているんだアタシは。




