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一人ファッションショー②

衣装部屋は少し空気がこもっていたけど、埃が酷いわけではなかったから咳き込みはしなかった。窓からの太陽光で服が駄目になっていることもなく、状態は良さそうだ。


(最初の世界から、最後に着てた服がズラリと並んでるの凄いよなぁ…)


事情を知らない人がこの部屋を見たらビックリするだろう。コスプレが趣味だと思われるかもしれない。

掃除は必要ないのでこのまま出てもいいけど、折角だから鑑賞してみよう。


(最初の世界はホント、しんどかった…)


飛ぶ直前まで戦闘を繰り広げていたから汚れが目立ってもいいはずなのに、今目の前にあるそれは新品同様に綺麗だ。


(………ちょっと着てみようかな…)


あの頃と年齢も体型も違うから着れるわけないのに、袖を通すと不思議なことにピッタリだ。アタシが着るのを分かっていて調整されているみたい。

横に立て掛けてあった自分の身長より少しだけ短い杖を手に取る。あの世界で杖無しで魔法を使えたのなんて主人公クラスの奴等くらいなもので、自分みたいなそこそこの魔法使いは基本的に杖が必須だった。杖と言っても様々で、今手にある長い奴もあれば短いやつもあって、その人の好みで使用していた。アタシが長い物を選んだのは、魔法が下手くそだったから物理で殴ってカバーしようという情けない理由だ。だから先端が物凄く硬い素材で出来ていて、デザインも何というか、刺々しい。皆にめちゃめちゃ笑われた記憶が懐かしい。


(色がオレンジとかだったら太陽イメージで良かったんだろうなぁ…)


当時のアタシは何を思ったのか杖は黒一色で塗られている。センスなかったな。

少し振ってみると空気が変わった気がした。こう、何かが揺れている感じ。


(これ…魔法使える…?)


試しに氷魔法の中でも一番威力の弱いものを使用してみた。部屋に涼しい風が吹き、室温が下がる。

この世界は魔法が存在するのかと驚く。そんな様子今まで全くなかったけども。

服を脱いで別の世界の服を着用してみる。セーラー服に杖はなんともアンバランス。

もう一度振ってみたが、今度は魔法が発動することはなかった。その世界の服限定なのだろうか。とりあえず杖は元あった場所にしまう。


(何も考えずに着替えたけど、セーラー服もやっぱりピッタリ…)


24歳のOLがこんな格好してるとか、知り合いに見られたら恥ずかしすぎる。しかも色が白とか。今思うとなんでこの学校に決めたんだ当時のアタシ。飛べるようになった当初の自分はだいぶヤケになっていたのかもしれない。

彩子達が大爆笑する姿が脳裏に浮かんで、すぐに脱ぎ捨てた。

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