現在取り調べ中②
「いらっしゃ、あ、杉浦さん。昨日は一人で帰しちゃってごめんね。大丈夫だった?」
「こんにちは槙さん。こちらこそご迷惑をおかけして…。さっき石井さんにも連絡は入れたんですけど。」
「あぁ、そういえばアイツからもきてたね。彩子ちゃん、彼処にいるから。」
先日の話も早々に切り上げて促された方を見ると、カウンター席の端っこで物凄いオーラを纏った彩子を発見。めちゃめちゃ怖いけど、個室じゃないだけマシか。
どうやら槙さんが個室に行こうとする彼女を無理矢理カウンターに座らせたらしい。グッジョブだ。
「ごめん彩子、遅くなった!」
「待ってたわよ。さぁ、全て吐け。」
今何杯目なのだろう、ビール片手に凄む彩子はいつぞやの世界の魔王に見えた。
ハイボールをお願いして着席し、彼女の方にしっかり体を向けて先日の話をする。終業後の休憩室での石井さんとのやり取り、このお店に来てからの会話の内容全て。
といってもそんなに長い時間居たとかではないので、頼んだハイボールが届く頃には終わってしまった。
「…はぁ。なんか、ごめんね。」
「彩子が謝る必要無くない?」
「あるわ。アイツとの事情話さなければ絡まれずにすんだわけだし。」
「咄嗟に知らないって言えなかったアタシのミスだよ。まぁ、こんなことになるとは思わなかったけど。」
脱力して謝ってくる彼女から空のグラスを受け取ってカウンターの向こうにいる槙さんに渡す。ランチタイムはやっているもののそんなにお客さんは来ないらしく、何かあった時の為に目の前で作業してくれていた。
彩子が怒っていたのは、事情知ってるのにあの馬鹿に惚れるとか馬鹿!?という勘違いからだったらしい。
流石に友人の元彼とか嫌だわ。というか、いくらイケメンでもほぼ初対面の男に惚れるとか無いです。生前の元彼含め、過去の男達はちゃんとお友達からだったわよ。
「それにしても狩野さん、もっと上手くやる女だと思ってたけど、過大評価だったかしら。」
「女性社員の噂にあがってる時点でたいしたことないでしょ。」
彩子からサラダを少し分けてもらって、話題は狩野さんへ。
上手くやる女は、異性より同性への根回しがしっかりしてるからね。
所詮転生で浮かれてる奴なんだよ、とは言えない。
「そんで、彩子は石井さんと復縁するの?」
「まさか。」
ですよねぇ。




