化けの皮を剥がす②
「結局なんなんですか?狩野さんが自分の思っていた女性と違って冷めて、彩子とヨリを戻したいとでも?残念ですけど、彼女はもう完全に吹っ切れて新しい男探しに夢中ですよ。」
「それ本当ですか!?」
「うわぁ!?ソースこぼさないでくださいよ!?」
明言してはいないが、彩子とヨリを戻したいような言い回しが増えてきたのでそう言ってみたら、チーズカツにソースをかけようとしていた彼がものすごい勢いで顔を向けてきた。その際に力を入れたのか、ピッとソースが飛び出てくる。
お互い白のシャツなんだから、ホント気を付けてほしい。
「なんで吹っ切れたって分かるんですか?」
「昨日飲みに行った時に彼女の友人に会って愚痴ってましたからね。」
「は?飲み…?まさか、今日の早退って…。」
流石に元彼である石井さんは気付いたか。あーとかうーとか言ってチーズカツに齧り付いてる。
「まぁ彩子が吹っ切れてなくても、石井さんみたいな人にお返ししたいとは思いませんけど。」
「…。」
「アタシだったら嫌ですよ?告白されて付き合って、他の女が気になるからってフラれて、その女がイマイチだったからやっぱりお前が良いって?お前何様だよって殴りたくなりますよね。ジョッキで。」
「…杉浦さん、性格悪くないですか?」
お前限定だ、とは言わない。恐らく狩野さん相手でもこうなると思うし。
テーブルの上でスマホが振動している。本道さんからだと思い手に取ろうとすると、その手を別の手が制止した。
そんなこと出来るのは勿論目の前の石井さんだけで、文句を言おうと顔を上げて呼吸が止まりそうだった。顔面偏差値高い男の真剣な表情はアカン。ドキッとさせられるし、少しだけ怖い。
「あの、離して…。」
「本人からちゃんと聞くまで、僕は諦めない。」
「いや、それアタシに言われても…。」
「だから、手伝ってほしい。」
彩子と復縁出来るよう協力しろと?そんなの、
「するかばーか。」
アタシの発言に驚いたのか、力が抜けた手を思い切り叩いて下げさせる。あーもー、手首赤くなってるじゃん。
叩かれた手を擦っている彼を放置してスマホをいじれば、やっぱり本道さんだった。今度はネコさんをクマさんがハグしてるスタンプ。やっぱり可愛いかよ。
「叩かなくてもいいじゃないですか…!」
「うるさい。レディに気安く触るな。」
「いやいや性格変わり過ぎでしょ!?」
「職場の人だから気を遣ってただけですー。たった今それをする価値がないって判断したんですー。」
今クマさんに癒やされてるんだから邪魔しないでほしい。




