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休憩室での盗み聞き②

もう少し静かに喋ってもらいたいが、今この空間は女子達とアタシだけ。居ないものとして扱われているのだろう。

先日の当事者の一人がここにいるのに、彼女達の話は止まらない。


「石井さんも仕事効率悪くなってるんでしょ?」

「狩野さんの手伝いってか、ほとんど代わりに引き受けてるらしいからねぇ。あぁ、皆の憧れてた石井さんは何処へ…。」

「確かに石井さんイケメンで仕事も出来るけど、女見る目無いのはアカンわ。」


あの二人の愚痴だけで彩子を悪く言われてないことにホッとする。陰口なんて良くないんだけどさ、あの二人のこと全然分からないから擁護しようがないし。

そうこうしている間に、休憩が終わったのか彼女達は退出し自分だけとなる。最後まで気付かれなかったアタシって一体。

軽くショックを受けていると本道さんから返信が来ていた。

先程送った日程で問題ないとのことで、とりあえず了解のスタンプだけ返しておく。


「那智〜ってうわ、なんでアンタそんな端っこで食べてんの?」


コンビニの袋片手にふらふらと入ってきた彩子は自分の姿を見てツッコんでくる。陰キャと言わないで。


「休憩入っちゃって大丈夫なの?」

「体調悪そうだから行っておいでって。こういう時普段から真面目に仕事してるとラッキーよね。」


手招きされて先程の女子達が居た中央のテーブルに彩子と座る。面倒そうにペリペリとおにぎりのフィルムを剥がす目の前の彼女に、先程聞いた会話をぶつけてみることにする。


「さっきキラキラ女子がいたんだけどさ。」

「なんじゃそれ。」

「昨日のアタシ達の話してたよ。」


思い出した彩子の表情が険しくなる。まぁ見られてたなんて思わなかったしね。


「見られてたとは…。」

「アタシも気付かなかったからしゃーなし。なんか、彩子達が付き合ってたことバレバレだったらしいよ。」

「え!?っっ、うぅ…。」


自分の言葉に驚きつい大声を出して自爆する彩子。頭を抱えて動かなくなってしまった。

このまま帰った方が良い気がする。


「飲み過ぎ良くないねぇ。このまま早退する?アタシが言っとくよ?」

「…そうしたいけど、でも…。」

「普段真面目な田沼さんが、例え二日酔いでも体調悪くて早退することに誰も疑問を持たないでしょ。」


そういう所上手くやってるなって、まだ付き合いの浅い自分だが分かる。船橋さんは、「随分マトモになったな」って感心してたけど、過去何があったやら。


「那智ごめん…。このまま帰るわ。」

「いいのよ、土日ゆっくり休んで。」


中途半端なおにぎりを自分に押し付け、フラフラとした足取りで姿を消した彼女。無事に帰れるのだろうか。


(あ、アタシもそろそろ戻らないと)


レンチン用に置かれているラップを拝借し、残されたおにぎりを包んでロッカーに荷物と共にしまってから、急いでデスクに戻る。

上司に彩子のことを伝えれば、一応メールをしていたようで軽い反応しか返ってこなかった。

それをどこから聞いたやら、彼女の体調不良の原因が先日の修羅場だと勘違いしたキラキラ女子達に退勤時に遭遇することになる。

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