休憩室での盗み聞き①
「杉浦さん、先に休憩行ってきちゃっていいよー。」
「わかりました。では、お先に…。」
少しだけアルコールが残っているような感覚で、目覚めはイマイチだったが動けないほどでもなく。
いつもより一本遅くなってしまった電車で出社すれば、眉間に皺を寄せた彩子がグッタリしていた。彼女は絶賛二日酔い中のよう。
金曜は業務が午前中に集中するので死にかけの彩子と必死に捌き、一段落ついたのは13時。まだしんどそうな彩子は食欲が無いらしく先にお昼を譲られたので、お言葉に甘えて休憩室へ。彼女を一人にするのは心配だが、この後は来週の準備くらいで暇だから大丈夫だろう。
昨日飲みに行くと言っていたけど、流石に今日は無しだよね?
(ん、本道さんからだ)
ロッカーからスマホを取り出して通知を確認すると、先日のワンコ…ではなく、一緒に飲んだ本道さんからメッセージが届いていた。
自分はやり取りにほとんど絵文字や顔文字を使わないから、彼のそれらを見ると若々しさを感じる。いや、アタシの方が1個上なだけでたいして変わらないんだけど。
(あのままだとガチで靴買うと思ったから、ご飯お願いしたけど…)
暇な日をピックアップして送ってくれているので、この中から選べば良さそうだ。自分より彼の方が休日が少ないのは既に聞いていた(愚痴っていた)ので、彼に合わせるのが当然だろう。遅くならなければ平日でも自分は全然問題ないが、肉体労働をしている向こうからしたらゆっくり休みたいと思うし。
自分の予定を確認しつつ返信をし、お弁当を持ち休憩室の隅を陣取る。彩子以外に仲の良い人がまだいないので、中央を陣取っているキラキラ女子の集団には近付けない。近付きたくもない。
人生トータル100年以上のオバアチャンには眩しくて眩しくて。
「ねぇねぇ、昨日の聞いた?」
「帰りのやつでしょ?いつも思うけど、ホント意味分かんないよねぇ。」
「自慢したいだけじゃないの?」
キラキラ集団の声量がなかなかで話の内容が丸聞こえである。昨日の帰りに何かあったのかな?
「田沼さんと石井さんってお似合いだったのにさぁ。」
「それな。付き合ってるの隠してたけどバレバレだったのは笑ったけど。」
「ちゃんと公私混同せず完璧に仕事こなしてるから、皆不満とかなかったのにぃ。」
「狩野さん、たいして仕事もしてないんでしょ?なんでまだいるわけ?」
どうやらエレベーターホールでの修羅場は目撃されていたようだ。
そして彩子よ、バレバレやないかい。




