人生が終わったようだ②
「おはようございます。随分なお寝坊さんですね。」
「………は?」
目が覚めると二次元のイケメンみたいな奴が覗きこんでいた。いや、実際に存在してるから三次元か。
こんなイケメン存在してたまるか。世の女性がオーラにあてられて死ぬぞ。瞬殺だ。
「現実逃避はやめてもらえませんかね。それと、男じゃなく女です。」
「………は?」
え、この人女なの?それはそれで妄想が捗る人種がいるぞ。
「貴女がそんな妄想をする人じゃないと願いますよ。」
「…声に出てました?」
「いえ、覗いただけです。」
覗いた?何を言っているんだこの人。
「そろそろ起きてもらえませんか?状況の説明をしたいのですが。」
「っ、そうだ。アタシ、電車乗ってて…。」
「そうです。詳細をお伝えするのでそちらに座ってください。」
そちらと言われた方を向くと、真っ白な空間にポツンとある机と椅子二脚。変な場所と思いつつ移動の為に起きるとそこらじゅう真っ白。
なんだこれ。二次元でよくある転生前の世界みたいだ。
「まぁまさしくそんなものなので。早く座ってもらえませんか。」
イケ女(名前が分からないし)は既に着席していて手招きしている。
少し引き攣った笑みなような気がして、怒られる前にいそいそと自分も向かいの椅子に座った。
「まずは本人確認をしたいので、名前と年齢、性別をお願いできますか?」
「あ、はい。杉浦那智、32歳。性別は…言う必要あります?…女ですけど。」
「…はい、確認取れました。」
何処から出したか分からないバインダーを見て頷くイケ女。履歴書なんて書いた覚えないんだけど、何が書かれているのそれ。
「では…。この度は私の不注意で事故を起こしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。」
「事故…ですか?」
「はい。私は貴女達からすると所謂神と言われる存在でして。」
事故の言葉はまぁなんとなく意識を手放した直前のことを指しているのは分かる。でも、自分を神とか。
「イタイ人?」
「…このまま消えますか?」
うわぁ…な視線を向けると、眩しい笑顔で物騒なことを言われる。実際自分の手が透明になったので、信じざるを得ないようだ。
「すいませんでした。説明の続きをお願いします。」
「よろしい。…貴女が人生を終えることに…まぁハッキリ言うと亡くなることになったのは電車の脱線事故なのは分かりますかね?」
「そうですね。電車に乗ってましたし。脱線が原因なのは初耳ですけど。」
「多数の死傷者を出してしまった事故なのですが、先程も言ったように、私の不注意で起きてしまったのです。なので、貴方は本来死ぬことはなかったのです。」
またそれは。なかなかラノベちっくな展開ですこと。