光と闇
ある朝起きたら私は手足を縛られていて、手首には注射針と包帯。体がだるい…ここはどこなのかそして私は誰なのか。何もかも分からない。全身が痛いな…そう感じてるうちに誰かが来て私の顔を覗き込む。
「目が覚めましたね。」
あ、病院にいるんだ私…扉から出て行った人のナース服をみてそこが病室だということを悟った。
「よかった。意識が戻ったね。」
ドクターが私にそう言って部屋を出て行った。気づいたら私はまた眠りに落ちていた。
眩しい光がカーテンから降り注ぎ気がつくと朝だった。
「橘さん、目が覚めましたね。昨日急いでドクター呼んだらまた休まれたから。私担当の七瀬です。何かあったら遠慮なく言って下さい。」
「橘…たちばなというのですか。私の名前は。記憶がないんです。じぶんの。自分が誰かも。」
そう言うと七瀬は驚いている様子もあったが笑顔で答えた
「大丈夫です。ゆっくり、時間をかけて一緒に思い出しましょう。いつか記憶が戻りますよ。」
起きる事もままならなかった私だが、日に日に体調が良くなり、食事も美味しく食べれるようになった。それからしばらくして退院の日を迎えることになったのだが、、、
記憶は依然ないままであった。私が倒れていた時、身につけていた所持品から名前が分かり、免許証から住んでいた住所が分かった。不思議な気持ちだが、体が元気になった分だけ頑張ろうという気持ちがちょっと芽生えた。私とはいったいどんな人間だったのだろう。どんな人に囲まれて生きてきたのだろう。そして何があって、記憶をなくしてしまったのか…自分を巡る旅が始まった。
免許証の住所をたどり、自分の部屋だという場所へ地下鉄に乗り、街中の立派なマンション。外観を見てほっとした。さてさて、中へ入ってみるか。持っていた鞄のなかにはカードキーが入っていたので見事に扉が開いた。部屋番号は…
502郵便受けには沢山の手紙。いっぺんに取って鞄へ。
そしてエレベーターにのり、自分の部屋の扉を開ける。驚いた。綺麗な玄関から続き、リビングには大きなソファー。とにかく疲れてたのでそこに座った。けども落ち着かない。
病院生活が長かったからか、広い部屋がどうも落ち着かない。そして…自分のことを知る手がかり探し。クローゼットを開けてみる。色とりどりのドレスやアクセサリー。カバン。ヒールの靴。ん?これって。私は夜のお仕事をしてたのかな…それならこの立派な家に住んでても納得がいく。願うことは預金に余裕があること。しばらく働ける余裕もないしな。でも、私そんなお仕事出来てたのかな。自分の性格は優柔不断だし割と人との関わりは積極的ではないだていうのはこの心と体と1ヶ月付き合った自分がなんとなくわかる。腑に落ちないまま、私はこの部屋で過ごすことになった…
とりあえず仕事探さなきゃ。お水は無理。
あったかい布団に入り。自分に語りかけるとすぐに眠れた。退院後はじめての人ごみ。体も心も疲れていた。
朝は早く目覚めた。6時に部屋のアラームがなってたけど、それよりも早く目が覚めてた。この部屋は体に馴染まず、違う誰かの部屋に住んでるみたいで気持ち悪かった。
引越ししたいな。どこか小さな部屋に。
さあ、着替えて支度して、外へ出かけよう。コンビニに行くと街の求人雑誌があって、パンを食べながらイートインスペースで食い入るように求人をチェック。
「橘さん??」
突然後ろから話しかけられ、パンを喉に詰めた。
「大丈夫??今までどうしてたん??」




