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店開始

 今日は記念すべき我が店の開店日である。置くものは適当な魔道具である。温度変化や燃焼現象を起こす程度なら材料さえあればいくらでも作ることができる。更に一定の需要もある。なのでまばらまばらに客は来る。

 そもそもこの世界の奴らは絶対温度や魔法陣においての-(マイナス)の表記を発見できていない。


 俺はバカのように試しまくった結果見つけることができたがな、これは身内にすら言っていない超機密事項である。


 で、作るのに必要な物はというと「魔ガラス」と呼ばれるレンズに「魔インク」と呼ばれるインクを使って魔法陣を書くと魔道具である。あとは他に必要な物を付け足したりすればいい、カイロとしてなら布を巻くだけでいい。

 肝心の使い方だが少量の魔力を送ると魔法陣が発動してその魔法陣通りのことが起こるという()()()()()()()()。この世界に存在するという魔法は法則があることはわかるのだが謎が多すぎる。


 まず魔力とは一体なんだ。これは何度も考えた、今のところ力とかいう名前ついてるのにエネルギーでなくそこら辺に空気のように蔓延ってる、生物が吸収できて操ることができる物質というのが今のところ実験から得られた情報による考察だ。俺も魔道具を使えるくらいには魔力を操ることはできる。


 これについては実験中に考えていこう、今は仕事だ。


 ……そうだ、ジルコニア商会の息子が経営していると貼り出そう。嘘はついていないし、使うなとも言われていない。思い立ったが吉日、客がいない隙を狙って羽ペンで紙に書き、店の前につける。……字が綺麗とは言えない、余裕ができたら専門の者に頼むか。


 とりあえず客の情報が必要だ。一応()()はやってはいるが一人だと人手が全く足らない、一人でやっててもキリがない。商品である魔道具を作るのにも客がいない隙を見て作っていないといけない。


 ライバル店や周辺の人口や魔道具が消耗する期間から大まかな必要な数は把握したのだがやはり誤差はあるものだ、随時作っていかねばならない。おそらくジルコニア商会の身内が経営しているというところが功をそうしたのだろう。

 消耗するというのは魔力をかけているうちに素材に使っている魔ガラスや魔インクなどの中に含有する魔力がすり減っていくらしい。すると魔道具として機能しなくなると。物にもよるが全て安物だとおよそ三日程度で使えなくなる。なので多少は良いものを使わなければならない。


 この調子であったら利益は出るだろう。そのうち人を雇うことを考えなければならないな、正直人件費は痛くなるだろうが、それ以上に利益を生ませるようにさせればよい。


 ……客足がいないのを見計らって作業をしていると、一人の客が入ってきた。まだ成年もしていないであろう少年だ。彼はそのまま真っすぐにカウンターへ歩いてきた。


「いらっしゃいませ。何かお探しで?」

「――前に貼ってあった貼り紙なんですけど……」


 店の前には二つ張り紙をしてある。「どちらのことで?」と聞くと少年は答えた。


「……相談の方……」

「承りましょう。前払い200ビリアルになります」


 そう言うと彼は二枚の小銀貨を渡してきた。俺の店はなんでも相談を受け付けている、仕入れ値0で安上がりな上に前世の記憶と天才である俺の思考力であれば大抵のことなら解決できる。


「では、こちらへ。椅子にお掛けください」


 彼は指示通りカウンターの中へ入り俺が取り出した椅子に座る。そして、対面して座り話しかける。


「では早速、どのようなご相談で?」


「実は…………」



 要約するとこうだ、少年は平民で少し良い学校に通っている。それで、活発とは言えない性格なので貴族の良いスケープゴートにされている、具体的にいうと暴力を受けたり物を取られたりしている。というわけだな。


「――お客様の状況はよくわかりました。では、どのようになさりたいのですか?」

「どのように……?」


「はい、お客様がなさりたいこと、問題を教えていただかないと解決しようにもできないのです。例えば今まで彼らがしてきたことを日の目に晒したい、復讐したい、なんなら彼らがしてきたことから親から金を得たい。などなど……」

「そういうのはいらなくて……えっと…………もういじめられたりされないようになりたい」

「では具体的に決めていくと、彼らから一切の暴行を受けず器物損壊や窃盗などされないようにということですね。……と、なりますとまず積極的に味方となってれる教師を探しましょう」


 そう言うと彼はおどおどしく返した。


「えっと、されてること先生に言ったらもっと酷い目に合わせるって――」

「ええ、そう言う奴らの常套手段です。結論から申しますと、彼らに見つからないように行けば良いのです。朝早くに来るもよし、彼らが帰ったのを見計らって教師達の元へ行くもよしです。

 そうして味方となった教師に彼らがお客様に与えるであろう損害を目撃してもらうのです。あとは彼、彼女にお客様から言ったということを秘密にしてもらうだけです」


 彼は真面目に聞いて、相槌をうつ。


「そうすれば上に話がいくでしょう。そうなったら今までされてきたこと全て話すといいでしょう、そうなると自然に今までしてきたことがポロポロと出てきてそれ相応の判断が下されるでしょう。お客様のお伺いした内容ですと明らかとなった真実が三割程度としても数ヶ月の謹慎処分になるでしょう。ご満足いただけましたか?」


 その問いに元気よく「はい!」と答えた。そして続けて「あ、そうだ」と言って彼のバッグに手を入れた。


「後払いが100ビリアルでしたよね?」

「確かにそうですが、お受取りするのはご解決なさった後です」


 そう言うと彼は少し困惑する。「でも……」と言ったが、話を遮る。


「それでご解決できなかったらこちらの信用が落ちてしまいます。なので後払いはご解決なさった後でお願いします、それではまたのお越しをお待ちしております」


 彼はまだ納得していないようだが、軽く頭を下げて店を去った。



 その後は魔道具の販売の接客をしていって、日が暮れていった。


 もう予定していた閉店時間、店内に客はなし。もう閉めるか。

 そう考え扉へ向かおうとするとと見覚えのある少女が店内に入ってきた。息を荒げながら声を出す。



「ハァ……ハァ……ようやく見つけたわよ……!」

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