表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/32

漆歳 こんにちは婚約者(アカチャン)だぜ!

 王子様は美男子でした。いや、美少年と言ったところですが。

 先に待たせていた継承権のない『弟』ヒロシに護衛されて私は王宮の中庭にやってきました。

 この中庭には大きな花の木があり春先に咲く満開の花の元で告白すると一生幸せになるという伝説というか伝統というか予定調和があります。


 騎士爵の娘さんや男爵家の青年が毎年春になると列を作っていて情緒もなにもあったものではないですが。

 取敢えず上級貴族の結婚では偶然を装ってお互い出逢うという予定調和イベントが必要らしいので私は先に待たせていた王子を『知らないふりをして』出会って仲良くなって『結婚の約束をする』必要があります。


 たまに( ゜д゜)(※ポカ)かまして別の子に結婚の約束をするトラブルもあるそうです。まぁ子供のすることですので。


 それが父と母ですが。

 父、本当は公爵家と結婚するはずだったらしいのですが互いに一目惚れだったらしく母の婚約者になる予定であったオズワルドおじさんがたまに父に愚痴っています。


 そして父は親友である現ラジャ伯爵家当主のオズワルドおじさんの婚約をポシャらせた挙句、『自分の心に正直になった』と幼馴染にして乳母の子であるメイアに大逆転(ビアンカガイイ)かますのです。


 母がキレなかったのはひとえに学生の実習課題の延長で始めた冒険者時代の女の友情によるものです。一時期は家を捨ててメイアとコンビを組み、世界を旅したいと本気で願っていた節もあったようです。


 ラジャ伯爵家現当主ですか?

 ご想像の通りいい相手が見つからずオズワルドおじさんは独身です。

 まぁ彼は貴族には珍しい精霊魔法の使い手ですので老化が遅いためいまだモテモテであるのですが彼は報われぬとわかっていても昔からシンジュ母様一筋だったそうで……父め。



 正直私としては王子が恋愛対象として駄目ならオズワルドおじさんとやっちゃおうかなと思っています。私、シンジュ母様似で絶対落とせると思うのです。あのイケおじは顎のチョビ髭を含めて私好みです。


 いや、貴族は義務を果たせばあとは結構フリーダムですので。王妃だとなかなかですが抜け道がないわけでもないですし実質うちが政務も軍事も取り仕切っていますし。



「うーん」

「うーん」


 さて、偶然を装うために木の前で列を作る大人たちを排除したあと遭遇した私達の意見は一致しています。


『まぁ顔は悪くないかな顔は』


 結構いい性格していますよ王子様。それを本人の前で言いますか。


「君だってそうじゃん」

「ですね。正直ほもでぶさいくでかんとんほーけーで穴すら間違える馬鹿で試しに致した乳母の味が忘れられず妻をないがしろにするマザコンかつうちの父のような処女食いかもしれないと危惧していたところですから」


「言ってくれるじゃねえか?!」


 いや、兄と父の調べは完璧ですのでちゃんとわかっていっています。

 なんせ二人の始めたことは六歳の娘相手に完璧な事情聴取及び攻略本アカホンの作成ですよ?


 結果この王子がプライベートではとても口が悪いのも存じています。それだけではなく出るべきところではちゃんと大人顔負けの口上や態度をとれるのも知っています。あくまでこれは相手に好かれる努力です。兄、もとい『弟』よ。本当にこんなひどい言い方で大丈夫ですか一家そろって首が飛んだりしませんかね。


 いや、あのアニメの中でもこの子は口が悪かったような気もしますが。


「気に入ったぜ!」

「まぁ嫌いじゃないです。今後は知りませんが」


 王子さまは早速私のドレスが汚れるような遊びを提案してきたので丁重にお断り申し上げました。

 後に我が家に来訪した時、うちの弟たちに王子はモテていましたが乳幼児にモテてどうするのでしょうか彼は。



 あ。何故か兄……『弟』に彼は『先輩』と尊称つけていましたけどなにがあったのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ