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#どこにでもある異世界転生ファンタジー   作者: 鴉野 兄貴


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二九祭 女王さまとお呼びだぜ!

 よくわからない神さまだか悪霊だか悪夢(お兄ちゃんたち曰く全て同じ類だそうです)を退けた私たち。リズはものすごい勢いで死体があったところをさらに踏んでいましたが。少しヒきますが致し方ありません。芸能界改革はうまくいったとはいえ事実上人柱でしたからね。


「あ、でも芋虫嫌い治った」

「私もです。リズ。多分本能的にアレが関わっていたからでしょう」


 あれが魔蝶に進化していたらどうなっていたのやら。あくまで仮定のお話ですがね。

 そういうわけでリズもやっと結婚です。

 これだけ待たせたらさすがに第二王子との結婚はありませんがフェリクスさんとこの次男坊の身はまだ空いていました。口の悪さもだいぶ改善されて穏やかになっており身を立てる手段を持った事で領主もいわゆるPもどちらの生き方も選べるのが大きいですよね。


 ところでリズ。あなた男尊女卑嫌いなのにあの子でいいの? あの子は私の知る限り亭主関白タイプですが。


「え"?」


 問題ないようです。

 まあリズなら大丈夫でしょう。


 どうもP経験が彼を変えたらしく、幾多のアイドルを育てつつもリズ一筋だったこと、リズ自身の貞節の呪いが逆に二人の信頼を高める結末になったようです。


 私がチートステータスを出せなくなったようにリズもまた無駄にモテることはなくなりました。顔立ちはそのままですが彼女の関心は一人でいいのです。

 それって素敵ですよね。

 人生の先輩としてアドバイスですが結婚したら増えるから今を楽しむのです!


 私の人生。リズの人生。

 お父様の人生。お母様がたの人生。

 虚構の物語。誰かの見た夢。

 それは物語に心寄せる限り嘘ではありません。


 だから我々は誰かの悲劇に悲しみ憤慨し、誰かの喜びを共有して微笑み合います。一人で幾重の人生を味わい人を傷つけずに生きれるよう学べるのだと。

 実は実学を全て極めた先、無駄の数々の中に人として一番大切な教養と虚構を暖かく包む力があると。


 神を信じ神話を奏で夢を語り法を守る。

 正しく嘘をつくから人類は強いのだと。


 私は貴族です。王妃です。

 神ならぬ私が皆の上に立つなど許されることと思っておりません。王など最大級の嘘のひとつです。



 でも私たちの世界では民主主義は発達できません。


 たかが芋虫に願って得た力を振るい、軽く手を振るだけで山を崩し都市を生み出し死者をも蘇らせる者たちがいる世界において誰が『人間は皆本質的に平等だ』なる嘘を信じることができましょう。


 銀行を介して貧しく力無き民がお金持ちにお金を貸してファウンドし、誰もが撃たれれば死する銃を手にありもしない国家民族家族をまもるため団結する、民が民の手で立ち上がる世界でなくば人権だの民主主義だのといった嘘を信じて明日を夢見ることはできません。



 個を持って国家を滅ぼす魔物や魔王や勇者が存在するわたしたちの世界では民は搾取されるか、施政者を礼賛するためだけに生きることになります。

 でも、私は、いえ人ならばその気になれば傲慢なる神を名乗る芋虫や思い上がったジョウキュウコクミンよりはマシな王として立てるはずです。王とは言わなくとも親として保護者として嘘を守る責任と苦悩を胸に。


 個を持って誰かを守るヒロイックファンタジーの世界ならば。

 皮肉なことに貴族制度は必要悪になります。

 無力な民を危険にさらすぐらいなら私達強きものが矢面に立ち、モンスターの牙に身を晒して公共事業しなければいけませんから。



 あちらの世界も、まだまだ英雄が必要のようです。

 民主主義を成立するためには独裁者が必要とある経済学者は仰います。


 だから私はあえて冠を被ります。

 その玉座の上に細い蜘蛛の糸で剣がぶら下げられているとしても。


 私は、王妃で。

 夫があっちの世界で戦う事になる以上、今日からはこちらの世界を束ねる女王です。

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