二六歳 世界制覇のその日までだぜ!
二〇XX年。かつての名投手サラムラの魂を受け継いだ超人たちが世界の野球界を揺るがすであろう。
その者たちは異世界より来襲し旧態依然とした球界を揺るがす……。
予言の書をみてどうかと思うのですが私はその野球戦士らしいです。女なのに!?
私の知っている女子プロ野球は興行としてあまり儲からず選手が募金箱を持っていましたけれどね。
「どうしてこうなった! 公務は! わたしにはやるべきことがまだまだ!?」
「王妃様。次打順ですよ」
敵、ブイスリャー球団は異世界帰りの勇者魔王転生者軍団であり、『時速200キロでホームに突っ込んでコンクリート壁を破壊する』『皆でスクラム組んで仲間を空にぶん投げホームランボールを大気圏脱出して取る』『ボール球の圧力で相手チームが爆発する』などなどの異能を発揮しており、私たち異世界帰りの女たち(平均的にみて私たちの方が身体能力などは地球人類より優れています)が迎え撃つ構図は『むさ苦しい男たち対華やかな女性たち(※こっちの方が勝利をつかんでいる)』と興行として成功しているとみなさないといけません。
「アンジェリーナ! リーナ! しっかりして!」
「監督兼選手のお、お姉様。なんとかベースに帰れましたけど私はここまでのようです。あとはお願いします」
「死に際まで説明台詞よしてアンジェリーナあああああっ!?」
妹は天に召されました。三十秒したら転生して戻ってくるはずです。赤ん坊から一時間でハイハイダッシュして二時間で選手復帰します。首が繋がっていませんがそこは粘らねはなりません。
男なら死ぬ気でやる。女ならなおさらです。
私は白球を握りしめ。
『大分裂! サンダーブラスト投法!』
最高峰の破壊魔法を付与して投げます。
途中で球がプラズマ化して消滅後、キャッチャーアンジュの手のひらの上で再構成される幻の技です。
「体力の限界!」
老化が半減しても寿命が伸びるわけではないアンジェお母さまはばったり倒れ、その黒髪が真っ白に。
「勝利を……掴むのです。私の可愛いお嬢様……楽しかったです」
「アンジェえええっつ!?」
一人残された私は白球を握りしめて、急遽選手として雇い入れた一般人Aさんに向けて最後の魔球を。
「おれたちのたたかいはこれからだ!」
すごい夢を見ました。
えっとバレーボールをはじめとする女性男性混合リーグは回ごとにメンバーを入れ替えなどルールを改正しつつ一般に普及しつつあります。
リズが見事にレコード大賞とりました。あの子歌下手だったのに一年で伸びすぎです。地球とこちらの世界のセンスを取り入れて作った衣装はあの子デザインで売れ行きも好調なようです。女性の制服ぽいユニフォーム着たうえサイリウム持って踊り出す肥満体の殿方たちはどうかと思いますが。
芸能プロダクションは好調で地球生まれのアイドルグループが今私たちの王国を巡業しています。あちこちで騒ぎが起きているものの許容範囲でしょう。
ハイパーループはうまくいきそうです。自衛隊三〇X部隊と何度かバトルになりかけましたが技術交流が進み双方の技術をお互いに切磋琢磨した結果協力体制が構築され只今鋭意掘削中です。坑道戦術に大革命が起こり人類は制空権のみならず地下にも警戒せねばならなくなりますがその辺は仕方ないですね。具体的に言えば地下からミサイルで脅しても無駄無駄なのです。
以外と手強かったのは、というか一度撃退されたのはパガ島なるところの自衛組織でした。大酋長に頭下げて頼みにいったら許可がもらえましたけどね。
「なんだ。星の海に旅立つために必要なのなら是非もない。手伝おう」
独特の世界観と科学的知識を持った彼らの参入でより捗ることに。
特に宇宙空間でも生存できる蜘蛛の存在を教えてくれたのは良かったですね。アラクネという半身蜘蛛の魔物の女性が彼らを率いて軌道エレベーター建設に活躍してくれました。お蔭でソーラーセイルによって太陽系を旅する探査船をいくつも建造できたのです。
世界を私のポケットに。
そういったのはニーホリが可愛がっている観光会社の社長ことミライさんだかミキさんだか言う方です。
ニーホリもそうですが、この方も色々失礼なのですが何故か憎めないのですよね。
我々は世界の一つ二つは狭すぎるのかもしれません。
我々は隣の友人を掴み続けることすら難しいほど世界が広すぎるのかもしれません。
どう転ぶかはまだまだわかりませんが、未来は良いものになるように願うのみです。




