二三歳 地球と国交結ぶか考えてみたぜ!
「無理」
「ですね」
先王様に大皇后さま、私、夫である国王。
そしてシロこと竜王さま。
「あちらとこちらでは経済規模が違いすぎて属国化するぞ」
「竜族含めて考えてみたら」
夫の言葉にここにいる人の顔が青ざめました。
「余裕で向こうの国々を属国にできるな」
「そうなのか」
「さすが竜王さま」
希望が出てきたもののお話しを聞いた限りうまく行く気がしなくなってきました。
「異世界間の下等な魂を神とも言えない木っ端どもが、人間がFXや仮想通貨のレバレッジ取引一発狙いで破滅のリスクも考えずに行うように異世界間で転生させて行うように我々もある程度は手を出している。まあもっと堅実なやり方だがな」
地球のワーキングプアーやニートが親の金五千円ほどパクってFXや仮想通貨レバレッジ一発かまして大借金かますようなものと違い、竜族の魂や秘宝はなくてはならない価値があるとのこと。
「おまえたちの転生前の知識で言えば竜族は魂など出さずとも国家予算をドル建てや金で持っているくらいの価値がある。いちいち小技などいらぬ。それに対して自称神が送り込んでくる傍迷惑な転生者どもの素の魂はまあ旧ジンバブエドル一枚くらいか? 竜とスネカジリでは比較にもならん」
今盛大に私ディスられました。
「おまえは成功しておるから、その神とやらは」
「偉い神さまになるのですか」
シロは首を軽く振りました。このサイズですから受けたら吹っ飛びますが。
「デイリーガチャしてノーマルレアカード英雄のカケラが出る程度にはそいつの利益になっただろうな」
おい。
「いいじゃないか。成功してはいる。実際私と友達でいられる」
失敗したらって聞かない方がいいのかしら。
「まずおまえの場合というか幾ばくの転生者にある能力で生物としての本能などを無視し転生先における道徳に縛られずに能力を時として赤子の段階から高める行為の実体は」
「?」
「その神とやらに貧困層が住宅ローンを申し込んだようなものだ」
「……」
「それだけではなく転生の時点で全リスクは奴の代わりにおまえが背負う。人間の親でも支払い能力無視して子供に親子住宅ローンと高校からの奨学金かけて1200万ほど借金するだろ。子供が鬱になったらするかとか結婚できなくなるとか御構い無しで」
聖書で悪魔より神の方が殺害数多い話を思い出しました。
「我々竜族はそういった小賢しい真似はする必要すらないが、我々と膝を並べて見せるために『コリュウナドスデデコロセマスガジョウシキジャナイデスカ』するものが後を絶たないのは苦笑せざるを得ない」
ええっと。私死んだらどうなるのかしら。
つまりGAFAを利用するのは空気レベルで簡単にされているけどとんでもない力を空気のように当たり前に全員が使える前提の社会では使わずを得ないのにとんでもないリスクを背負わされているけど気にすることすら無益な世界って感じ?
「そうだな。古代竜をそうやって倒す人間を我々が見た感覚は……小学生がログインしたてのキャラクターをヤクザに借金して廃課金したキャラクターで倒して罵倒を並べる無職高齢者という感じだろうか。あるいは難しいな。そもそも関心の度合いが違いすぎる。普段呼吸する中にどれだけの窒素が混ざるかくらいか?」
そうか。私は彼にバカにされてすらいなかった!?
「もはや考えても仕方あるまい? たった一つの人生を生きた方が有益だ。前世来世と言わずこの世界でのおまえの人生は一つなのだぞ? というわけで、すでに地球世界やおまえたちの世界も取引対象に入っているから竜族の資産は使えない」
向こうは曲がりなりにも国連とかありますがこちらの世界統一政権である古代魔導帝国は500年以上前に滅びていますからね。私たちは竜帝国の保護にありますがあくまでもこの世界の経済規模程度が限界であると言われちゃいました。
「もう少し出してくれても」
夫がそう苦言を放つと。
「やかんを沸かすために核爆発起こすようなもの」
私はその例えわかりますが夫は理解できたのか。
「あいわかった竜王陛下。とにかく正常な国交を結ぶには問題があり、このまま公式に交流を持たず、相手の国々とは政府間レベルの秘密協定に止めよということか」
先王さまが確認をしてきます。
向こうはこちらの金銀銅が欲しいしこちらは向こうのミスリル(我々でいうチタン)が欲しいのです。
もっとも金銀銅にミスリルを色鮮やかかつ鉄より硬く竹ひごよりしなやかに加工できるのはこちらです。生産性が限りなく低いだけです。
「ニーホリとうまくやれ。あいつは慣れている」
そうみたいですね。じゃ歳をとったらあっちで参議院にでも出ましょう。最近会社に行けていないけど課長結婚できたのかな。
所詮私は愚かなる人間なのです。神々の遊びなど気にするほどでもありません。




