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二一歳 身内が結婚しまくると焦るらしいぜ?!

 子供が産まれたら産後の! 休む間もなく! 馬鹿みたいに訪れる貴族や魔法使いや神官の祝福を受けたりしないと。


「全員出ていけ!」


 もと皇太子改め新王は前例に囚われませんでした。

 すいません今回だけは本当に死にかけたので感謝します。

 私の回復を待って諸々の行事が始まりました。


 新しい命って。可愛いですよね。

 どうしてこの子、こんな小さいのに小指からつま先までふにふに動くのかしら。

 すごくかわいい。ずっとそばにいたい。


 無理ですけど。

 私は政務の才能のない王の代わりに国を治めるべく教育を受けていますから。

 それでも夫にして王は頑張りました。超絶頑張ってくれました。


 即ち、我が家中に王家の人間総動員です。

 さらに学園や異世界からスカウトしてきた人間たちも総動員です。

 なんせ学園では王太子に勝る人材を見出すことを是としたので王太子に成績を譲りますとか言い出す輩はシメました。そうしないと後々国政で苦労するからです。


 そして異世界、二ホンから連れてきた人材たちは異世界から戻ってきたということで戸籍が無かったりマコトのように本来死体であったり、諸事情で迫害されていたり、政策の失敗などで世代の苦労を背負っていたりしますが。


 世界的にみて四則演算と簿記が出来ればそこそこ使える人材です!

 なに、異世界言語はマークで、数字はアラビア文字で対応します!


 色々あって私も夫も四則演算は得意です。数桁同士の掛け算くらいなら暗算できます。

 パソコンを持ち込めたらすごく楽なのですがダメでしょうかね竜王様ことシロちゃん!


 なお、いぬのノワールとルシアは育休をとりました。

 私達王族は犬より超絶ブラックですよね!




「やばい」

「リズ! そっちの決済お願い!」


 怒号が飛び交いますけど本当にわたし参加しなくていいのでしょうか。うずうず。


「休め」

「はい」


 超鬼の顔で夫に叱られました。(´・ω・`)


「だからやばいです」

「こっちもやばいよリズお姉さま!」


「だから」

「リズお姉さま計算があわないの。・゜・(ノД`)・゜・。」


「だから、私やばいっていっているじゃないの!」


 急にヒステリーを起こした我が義妹。

 リズが申すにはそろそろ結婚したいそうです。



「原作では水やチョークついた黒板消しで済んでいたのが文字通り外に出たら身分問わずコナをかけられまくるし、少し植え込みに近づいたら襲われるし」

 そいつらは既に粛清しました。王の義妹にきたないものを見せるとは。

「普段は家中の書類に忙殺されて殿方とのお付き合いなんて夢の夢だし!」


「すまん」

「ごめん」

「ごめんね」

「ほんとごめんね」


 お父様、シンジュお母さま、アンジュお母さまにメイアが反省して見せたので狼狽するリズ。

 地味にリズはメイアと仲が良いので更に堪えたようです。



「それもこれも絶世の美少女設定が不味いのです」


 伊達に逆ハーレム設定ではなく彼女の結婚はどんな形でも国が揺れます。かつてのシンジュお母様かそれ以上に。


 わたしは今日も縦ロールを無理やりストレートパーマで直す日々ですが、彼女の容姿は平凡中の美そのものであり鍛えればどこまでも美人になります。あとは化粧でどの殿方にもお好みの顔立ちに。

 胸もお尻も大きいのですが双方程よく鍛えているので形が大変よろしく、さらに骨格が細いのでモデル体型にも見えます。衣装を変えるだけでスレンダーもグラマーもどっちも体現出来てお得です。


 どちらかというと両親揃って冷酷そうな悪役顔の私達一族の中でリズの優しそうな笑顔は異端と言って良いでしょう。誰に対しても無限の肯定感を与えてくれる幸せオーラに溢れています。見た目だけなら。



「中身は腐っています」

「酷いです」


 腐ってやがる早すぎたんだ。

 彼女を我が家に引き入れてからの腐関係の事件を列記したら世界ごとビームで焼払いたくなるレベルですよ。



 先にまとめると我が家の人員はこうなります。



 父。アングロ―ピ公爵家当主タロット40歳(一族の元の生家、イイイイ男爵家領など他多数継承権あり)。


 第一婦人 シンジュ=タキカワ40歳 コイズ侯爵家出身

 長女がわたしで21歳。弟セフィロス16歳(※政宗とか振り回しませんよ。穏やかな子です)。


 第二婦人 アンジェ35歳 古代帝国子爵家出身 特記事項:毒の身体

 長女アンジェリーナ16歳


 私の乳母(実質父の愛人もしくは正妻)メイア40歳 特記事項:神聖魔法使い。元凄腕冒険者

 長女アンジェリカ16歳


 弟だか兄だかわからない妖精。当初メイアの子を名乗っていた。

 あれ!?



 こうなります。



「あのねあのね。后さま」

「うん? どうしたの可愛い私の妹」


 妹と一時遊んでいました。我が家は王家が先王様と前妃様、王弟ジュリー様しか生きていらっしゃらない事を考えると格段に多いです。

 さて、妹たちも心配するリズの婚活事情ですが現状を考えるに絶望的かもです。最近ゲーム終了して運命が変わったのがどう影響したのかリズに会う殿方のことごとくが惚れる有様ですから致し方ありません。


「で、リズ、いつ余の嫁に来るのだ」

「ジュリー殿下、お戯れを……」


 リズはちょっと腐入っているのでとても嬉しそうなのですがなにぶん五歳も歳が離れていますからね。最近急激に背が伸びてきたとはいえまだまだジュリー殿下は小柄で顔立ちも美男子というより美少年です。並ぶと少しリズのほうが背が高めです。




「殿下、我が家と王家を必要以上につなぐ必要はありません。ほどほどですほどほど。こういうのは順番があります」

「わたしにリズをあきらめろと!」


 あきらめたほうが良いですよ。王弟殿下って純情ですから結婚なんてしてごらんなさい。

 彼女の夫となるものは腐敗書物の数々(ヨリオゾマシイモノ)をみることになります。伊達に我が領の彼女の部屋の床天井石積み崩したわけではありませんよ?


 それだけではなく毎晩漫画のネタにされます。

 おねショタ生活とか絶対リズの創作意欲が上がるでしょう。


 なんせ彼女。

 風が吹いても殿方同士のあれこれを妄想し(*´Д`)しています。

 雨が降ったら空と海との間に殿方同士の交わりを見出し(*´Д`)しています。

 雪が降ったらはしゃいで庭を駆けまわっています。


 こたつを作ったら丸くなって動きません。

 それがリズです。



 殿下、そろそろ五年越しの恋はお諦めになってください。ちゃんと婚約者は用意しますから。


「いらぬ! 兄上も義姉上も……王、そして王妃。失礼しました」


 マジ惚れですよね。

 そのうち盗んだ鉄馬で駆け出したりしないでしょうね。心配です。



「まずここにハンマーを用意します」


 セフィロスがよいしょよいしょと大きな片手ハンマーを持ってきました。なにをしているのかしら。



「あと、お姉さま。ぼく最近鍛冶屋に弟子入りしました」


 なにやってるの~~! あなた次期領主でしょ~~!?


「ここにリズと殿下の掌を置きます」


 金床にハンマーガツン。


「汝ジュリーよ。汝はこの娘を妻として永遠に共に逃げ如何なる敵も困難も乗り越え彼女を守り抜くと誓うか」

「吊るされし蹄鉄と永遠なる馬の尻尾にかけて!」


 え、弟、なにやってますか。


「汝、リズよこのものを愛し病める時も健やかな時も彼の杖となり旅を支えると」



「いやよ。私この世界の男尊女卑は徹底して否定するわ。ジュリー様は可愛いけど嫌なものは嫌」



 リズ……そこは。みんな固まっているし。


 鍛冶屋さんに対しては国境地帯で結婚紛争が起きた時に備えて、若者の結婚を追認抜きで取り仕切る権限を認める特別法があります。ここでリズがOKすれば殿下はリズを連れて逃避行できるのですがそうはいかないもようで。



「なら、マコトにならった『グスクノボリクダリノギョウ』を使う!」


 マコト~~!

 武術のついでに王族たる子供に何をおしえているの~~!

 マコトは空手の達人なので(グスク)の石垣を道具なくスルスル登り降りできます。

 そして小柄で華奢なジュリー殿下はボルタリングに適性があったのでしょう。


 ふんにゅとリズを抱えた殿下はそのまま……。


 つぶれました。

 リズは決して重いわけではありませんが、先の襲撃を踏まえた特製コルセットだけで20キログラムほど増量しています。

 彼のように華奢な男の子ではとても持ち上げることなどかないません。


 こうして王弟陛下がわたしたちのいうことを聞かなかったら?

 なんとかなります。ええ。


 それより自分のアカチャンかわいい。

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