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#どこにでもある異世界転生ファンタジー   作者: 鴉野 兄貴


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19/32

壱拾漆歳 「先生僕たち結婚します!」「お前たちだけで暮らしていけると思うか!?」だぜ!

「あなたと結婚(ガッタイ)したい」


 壱億と二千万円を愛している。八億円を過ぎたころから急に税務署がうるさくなった。


 今では元の世界で学生している。結局大学に進むことにしました。

 すまん谷口夫妻。融資額一〇億を調達したのはやりすぎだった!


 新堀シンさんという神戸の社長さんがボンと融資してくれたのであるべきとこにはお金はあるらしい。

 そのかわり彼の知人に会った時は最大の援助を約束させられたが日本から私たち以外に移動したりするのだろうか。異世界転移保険など儲からないと思うが。


 浸透作戦は順調に進んでいます。

 どこからか向こうから噂を聞きつけ援助や協力を求めるものもいます。最初に声をかけてきたのが新堀さんでした。国家でも政府諜報機関でもない本職は食品会社のはずの地方商社の社長さんがなぜ私たちを知っていたのかは謎ですが。


「やっほー。シンおひさしぶり」

「なんだおめーか。今こんな小娘についているのか。もったいねーなまたうちで暮らせよ。最近唯のやつが生意気でたまらん。油断したら会社乗っ取ろうとしやがるし手伝えクソガキ」


 なぜ知り合いなのか謎なうちの兄だか弟だかな妖精とシンさんこと新堀さんは仲が良いぽいのでますます兄だか弟だかの評価がおかしくなりそうです。

 我が婚約者は「さすが師匠!」とか抜かしておりますが。しかし王太子と未来の国母であるその婚約者を捕まえて小娘呼ばわりとはいい度胸ですよ新堀さんも。


「シンの娘の唯ちゃん今いくつ? 前にいたときはちっこくて可愛かったなあ」

「聞いてくれよ。うちのチビちゃんもう24だぜ? まあ態度と調達額ばかりでかくなりやがってこっちのほうは相変わらず肋骨でてらぁ」

 そう言って胸元を掌で上下させる新堀さん。私は彼を女性の敵と認定しました。

 私が睨むと何を勘違いしたのか手をひらひらさせてからかってきます。イラッ☆。


「あん? 娘と同年代以下のガキンチョ相手に勃起つわけねえだろ。うちのマドカみたく結婚25年経ってもお嬢様していて夜はエロエロなのが一番だ」

「相変わらず奥さんとうまくやってるね。呆れたもんだ」


「ああ。歳とって円熟みマシマシ、バイオツもこんなんだしな」


 かなりの美巨乳な美魔女のようです。

 交渉は私が彼を気に入らない以外は順調に進みました。


「そーだな。家庭は大事にしろ。王でも社長でも変わんねーぜ」

「勉強になりますニーホリ!」


 王太子に偉そう過ぎませんかね。新堀さんは。

 婚約者を取られて不機嫌爆発な私をよそに男どもは盛り上がっています。


 急に新堀が私を見てニヤリ。

 ムカッ。


「あと、てめーの婚約者の弱点は左肘から二の腕裏らへんだ。ゆっくり執拗にやれ。ちゃんと焦らせよ」


 ふひぇ?!


「ななななな?! ナニイッルのこのせくはらオヤジ!?」

「うひひ。俺も昔は友人どもと刀一本で冒険していてな。俺のチートは見たやつの経穴や効果を見抜くものだからな。どこをつつけば喜ぶかもバッチリだぜ。なんせかくいう今日も妻とちょっちかましてパンツ変えてねえままこの交渉の場に来たからな!」


 不潔過ぎます!


 というか若い頃は刀振り回していた商社マンってそれ危険人物です!


 実に濃い輩と取引する羽目になった。その『新堀食品』の出口を出て私たちはため息。


「また遊びに行こうぜ」

「二度と行きたくないです」


 婚約者は新堀氏と意気投合したようですが、根も葉もない憶測とカマかけだけで私とルシアが夜な夜な何を練習しているかを正確に当ててくる新堀氏とは絶対口も利きたくないです! ちなみにこれも淑女の教養のうちです。一応。


 興奮する私をみすえると婚約者はフフンと鼻を鳴らしてのたまうに。


「おまえかわいいとこまだまだあんなー」

 ハァーッ!?

「あのおっさん、交渉でおまえが本調子で話し出したら負けると思ったんだろ」

 う!?


「そ、そ、そういえば私何も話せていません」


 頭が真っ白になります。今までこんなことにはなったことないので。


「今回はあえて下手を演じて見逃したが、次に俺の女にあんな態度とったらあのオヤジ潰す」


 婚約者、ただ意気投合したわけでもないようです。

 足元では両目を覆って「こわいこわい。ぼく子供だからわかんない」と抜かすうちの諜報トップがいます。このちびすけはカマトトか。


「で、おまえさ『ああああ』」

「はい殿下」


 式どうすると言われて頭がフットーしました。

 なんでそうなるのー?!


「なぜって……初代国王が竜の加護を持つ冒険者だって知っているだろ」

「あくまで伝承ですけどそうですね」


「初代様は後の王妃と側近になる者たちと共にダンジョンを攻略し、首尾よくダンジョンコアを入手、その力を得て貧しきもの、戦の苦痛に喘ぐ難民たちに一夜にて都を提供し、彼らを住まわせ国家の礎とした」

「我らの王都が実はダンジョンなど単なる伝説ですよ。まったく……あ」


 カミラちゃんのダンジョン自体が流血を嫌い人と人の喜びを是としてエネルギーを得る存在です。

 つまりその伝説は伝説ではない可能性があります。


「うちの弟、知っているだろ」

「ええ。ジュリー殿下ですね」



 アンジェ、アンジェリーク、アンジェリカ、アンジュリア、ジュリアでジュリー。全部天使です。

 婚約者の年の離れた弟で、王宮で出会った年上の絶世の美少女なリズが大好きで将来はリズを娶りたいと猛アピールしていますが元々リズは平民ですしほかの貴族とのバランスもあって実現していません。


 父曰く「家中におくつもりだ。元々は平民。王子に嫁ぐ教育は恥ずかしながらしていない」ですが、本当の理由は別にあり、父が最も嫌がった理由はリズが腐だからです。以前兄の王太子をモデルに腐の漫画を描いたのです。今度はショタものに手をだすのは確定的に明らかで我が家の危険がマッハでやばいのです。


 少し油断するとリズは別の方向で原作を再現しかけます。

 しかし王子と結婚という原作再現をするにしても相手は5歳も年下なのでかなり危険な絵面ですが。



「まぁあり得ないが、我が弟を王にという輩はいないわけではない」

「ですね」


 彼は弟と仲良しなのに外では不仲を演じています。



「学園の卒業課題に『ダンジョン攻略』があるが、特定階層到達を目標にせず、先祖を再現し英雄の子孫と証明すれば盤石で王位を継げる」

「あ、そういえばイベントにそんなのありました。難易度SSSらしいですが」


 実際は護衛がたくさんつきます。王太子とその婚約者にキズ一つつけるわけにはいけませんので強い敵は露払いしてくれているはずです。

 原作ではリズは平民なのでたとえ王太子(廃嫡間際)がいても、いやいるからこそ迷宮での事故にみせての難易度SSSでしょうが私は国母教育をうけていますので難易度はB程度でしょう。



「攻略対象はこの世界につくったダンジョンだ」

「え」



 今なんと。明石焼きのダシスープで舌を火傷しかけて聞き逃しました。


「ニーホリと谷口家、カミラがこっちの世界での結婚の承認をやってくれる。その後国でも挙式だな」

「はいいいいいいいいいいいいい?!」


 勿論。

 婚約者は楽しそうに笑います。


「一応形式的なルールとして学園卒業者は身分を問わず、一年は冒険者として自由に暮らせるらしいから、それもいいよな!」


 いたずらっぽく彼は笑います。

 彼は『新堀食品株式会社途中入社試験合格通知』なる書類をはためかせていました。


「万一廃嫡になったら、このままこっちで暮らそうぜ!」


 なにを言っているのですか。まったく。


 でも、それも良いかもですね。

 サラリーマンとしてOLとして、こっちの世界の『冒険(じんせい)』もたぶん楽しいでしょう。

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