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笄年 現代ダンジョン無双するぜ!

おいっす~(ポコタンインシタオ)!』

「だ、誰だお前は警察を呼ぶぞ!」


 私は自分たち一家をプリティウスにて撥ね飛ばしてくれた某おじいさん家にいます。

 前々前世から恨みつらみ。


「いあ。長生きするのはいいですね。今更刑務所とか入っても死ぬだけですから事情聴取だけで済ませるし実刑も受けないって素晴らしい。テレビとか見て人目を忍んで生きればいいですし」

「あんたも誹謗中傷するのかいい加減に……いい加減に……」


「いや、痛いって思う間もなかったですね。即死だったですし。親父はいまだに刑事事件として貴方が拘束されないのはおかしいって裁判を求めているっていうじゃないですか」


 笄年(15さい)の少女が何故か事件状況をぽつぽつと語りだしたので相手は黙りました。

 そうそう。死んだのがわたしだけなら多少は許せたかもしれませんが父の無念たるや。


「だから、あなたには超長生きしてもらおうとおもうのです!」


 本当に本当に元気で長生きしてね。

 ダンジョンの一部として……。


 彼のおうちがぐらりと揺れます。

 壁紙が血と肉と骨のオブジェに、テレビが出鱈目にくっついた頭や目玉の塊に。


「死んだら、あなたの魂と身体はこいつに接続されますので永遠に生きられますよ。ええ。来世とかないので本当に不老長寿です。よかったですね~~!」


 カミラちゃんに確認したけど火葬とかしても無駄だそうです。うんザマァ。



「終わったの?」


 カミラちゃんとヨーイチ君に首肯。

 さて、親父に会いに行こう。20越えた息子が美少女になって戻ってきたらなんというやら。


 ……再会した父の不審なものを見る目つきが一瞬で和らいで抱き合って泣き合いました。

 ごめんね。心配かけて……。


「いや、お前はまったく謝らなくていい。お前が心配をかけたわけではない」


 婚約者のこういうところは結構好きです。

 女子高生とは明らかに異なる異国の制服姿の私を息子と断言した父は『仕草や態度』で特定したと言いました。そんなに淑女の動作になっていませんでしたかね。


 もう私は別の人生を歩まなければいけないので前世の父とはお別れです。

 それより浸透作戦を開始しなければ。なんせこの国は色々問題を抱えているので魔法のある我が国が暗躍するにはちょうどいいのです。公安警察が意外と優秀ですけど。


「おい、なんかつけられているぞ」


 弟こと兄は本当に優秀で、ふっといなくなるとまた戻ってきました。


「排除した」


 早いですね。


「だから前世の家族に会うなって言ったろ」

「それは仕方ないな。私でもそうする」


 婚約者はそういって私の肩を抱いてくれました。

 肩が震えているのに気づいたのは今更になってからで。


 なんか目元が熱いし。鼻水出るし。

 ちょっと。近づきすぎですよ婚約者。

 あと、なんか口に柔らかいのが……えっと。



 ぽぽぽぽ(爆発)。



 キス!

 キス!

 きすきすきすきすすき好き好き~~!?



「そういえばやっていなかった」



 前世のお父様。

 婚約者連れで押しかけたかつての息子は今、自分がもう真の意味で女性で別の人生を歩んでいると自覚しました。



 取敢えず、ダンジョンは『谷口家』の店舗に繋がりました。ヨーイチこと陽一君のご実家です。

 現在店舗経営を一から学んでいます。店舗も大きくしますがこの国を乗っ取ってやるぜウハハハハ~~~~~~~!!



 復讐するは我にありじゃ~~!

 我に4000兆円をよこせぇえ!!!!!!!!!

 日本国民全員に納税だけで一人1億配ってやるぜぇwwwwwwwwwwwwwww



 ジョウキュウコクミンどもよ! てめえら調子こいていただろう。貧乏人が今更労働組合とか作らないとか思っただろう!

 現代に合った労組も作るぜ~~! 圧力や暴力で潰そうとしても無駄無駄無駄ァ(ウリィィ)

 地下から侵略浸透できる我らに対して逃げ場等ないから恐怖しろ~~!


「あの~。私のダンジョンなのでそういう形で原作再現しないでね」

「カミラちゃん、現代社会の問題点は富の再分配が行われにくくなっていることで、ちょっとくらい入れ替えてもいいじゃないですか」


「それ、魔王というよりテロリストだろ……」


 男性陣ががっくりとしていますがまぁそれはそれ。私は見事に現世に戻ってきました。


 ジョウキュウコクミンどもよ恐怖せよ。我革命を志さん!


「いや、だから、魔王の役目はわたし……じゃなくていいのか。そうだね。自分の人生だものね」


 カミラちゃんは唐突にそうつぶやくと陽一君を呼び止めました。


 あとで二人が真っ赤な顔で戻ってきたのでうまく行ったのでしょう。

 これで私たちの国と世界に魔王がうまれることはなくなりました。


 前世の世界に魔王とか魔人とか悪魔と呼ばれる女が出現するようになったのは後の笑い話です。


 あ、戸籍どうしよう。え、カミラちゃん。ダンジョンのオプションにある? さっすが。


 ……。

 ……。


『夫:谷口陽一(14歳) 妻:谷口カミラ(--歳)』


 なにこれ。18歳じゃないと結婚できない法律どうなった。


「そういう能力だもん!」


 真っ赤になって逆ギレをかますカミラちゃんに『まぁそういう事情なら別にいいかな』と流されてしまう陽一君。絶対形式だと思っています。でも今回はカミラちゃんにグイグイ行かれそうです。ひょっとして彼、グイグイ行かれても気づかないDONKAN主人公?!

 

「わーい。これで戸籍使える! 便利になったよヨーイチ!」


 絶対裏の意図隠して自分の都合でやってないですかカミラちゃん!?

 そこで彼女に何度も確認したけど、どうにもこの店舗関係者としての戸籍しか取れないらしいです。


 カミラちゃんの能力の一部、『ダンジョン維持に必要な電気水道などを含む物資や必要書類等は全て揃う』のはあくまでダンジョン本体である谷口家及びその拡張浸透範囲である地下街(先ほどのお宅訪問のように下水道や水道やガス管から一時的に接続は可能です)に限りますが、書類は特に谷口家に関連したものに限定されるようで。うーむ使いにくい。



「取敢えず健康保険証をダンジョンで作成したのち、谷口商店の社員証をつくってそれから原付バイクの運転免許を取ればいいのでは」


 婚約者もこっちの世界を勉強しています。


 異世界と繋がったら現代が無双するというのはうそです。

 確かに軍事力では劣りますが洗脳や心理学や魔法などではこちらの技術が勝っていますので穏便に頭だけを挿げ替えることは可能で御座います。

 自動速記フレッシュゴーレムで内閣まるまる挿げ替えて乗っ取るのも良いですね。

 人間というかホモサピエンスではない異種族がいるのもこちらの強みですしやれることはいっぱいあるので頑張るぞ!


 ……あ、今世の単位も落とさないようにしないとね。うん。

 取敢えず今日は千葉の夢の国に婚約者と遊びに行くことにします。

 前世で女の子と行けなかったのはアレだけど、もう自分は女性ですからね。


 めっちゃくちゃときめいてきます! ええ!

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