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#どこにでもある異世界転生ファンタジー   作者: 鴉野 兄貴


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拾参歳 転生者がいっぱい&現代ダンジョン開通だぜ!

「ステータスオープン」


 scanning by……

 Error!


 父のステータスをみようとしたらスキルシステム起動前にぶっ飛ばされました。なんてこと。

 まあ前々から薄々気づいていた父のチートっぷりが少し理解……。



 つかつかと兄、もとい『弟』が歩み寄り、父の肩をポンポン。


「ぼくにはチートはきかない。ほれ、妹……じゃなかった姉よ観るのだ」


 父がしゅんとしています。

「親父にも見られた(ブタレタ)ことがないのに!」

 意味わかんないし。


 見れた。すごいステータス。スキルハーレム王(ショジョダイスキ)にはヒきますけど。

 ところで『スリッパやピコピコハンマー、100トンハンマーなどで親族等が叩くと通常ダメージ』ってなんでしょう。100トンの衝撃を受けたら普通は死にます。あと『絶対無敵(ライジンゴー)』には『性的快楽』を除くという弱点があり、ハーレム王の能力を補完しているようです。まあ楽しくないのに義務と愛情だけで美女の相手は逆に悲しいですしね。


 謎の幼児から成長していない、兄だか弟だかわからない彼のステータスを見せてもらいますと精神力とか器用さや速度は30もありさすがお兄様(レットーセー)です。人間の限界を超えています。

 知性も人間の最高値18ですし。でも私たちには目立ったステータスもスキルもあるように見えず、相変わらず見えてもよくわからないという結論にたちます。あと名前のところがバグっていて相変わらず読めないし。


「で、我が友よ。これが私のダンジョンコアだ」


 捕縛プレイは嫌いではない伯爵様が噂のダンジョンコアを持ってきたのでその宝玉の美しさに魅入られてしまう我々。破壊することで伯爵様は死んでしまうらしいのでとり扱いには慎重に慎重を重ねなければうちの領の評判がひどいことに。


「おまえが死ななくてもカミラは扱えるのか」

「娘の夢がただの夢なら無理だが、仮にその夢が異世界とやらで本当に起きたとするならこのダンジョンコアは娘のために小さなダンジョンコアを生成できる筈だ」


 その場合相応に小さなダンジョンしか作れないとのことで我々は一年も準備してきました。

 曰く『小さな扉と一部屋だけ』らしいのですがその出口が肝要です。


 大阪府大阪市梅田地下街の一等地の小さな店舗の所有権や契約各種手続き不用光熱費等込みで100年自由に使えます。


『日本に帰れる』


 諸手を挙げて喜べないのは我々がすでに死んでいるからです。

 お父様は阪神大震災で死んだらしく、夜中に受験勉強をしていてグラッと来て天井が崩れてきた後の記憶はないらしいし(なぜアポ●ビルとかキャバレー●ン等をご存知なのか生前の彼には猛省を促したいですが)、リズはコミケ会場変更の煽りと徹夜組に入ってコスプレしつつ聖書(BL本)を買っていたらくらりときてそれから記憶なしで多分熱中症で死亡。私はプリティウスにひかれて死んでいますのでそれぞれ年代も違います。


「だいたい30年以上前の記憶だから今や親の名前も思い出せない」

「私もお兄ちゃんの名前忘れちゃった。この間『攻略本』書いてもらったからだいぶ記憶が奪われずに済んでいるけどどんどん曖昧になっちゃう』


 私も住所とかあまり言えませんでしたが『兄』が執拗かつ丁寧にあたりをつけて聞き出してくれたため既に判明しています。


「リズはいい。黒髪だし元の容姿にだいぶ近いだろ。俺なんて今や金髪碧眼の長身痩せマッチョだぞ。ワキガでデブで顔中ニキビだらけで油じみた髪だった息子の変貌を父がみたらぶっ飛ぶしタカラヅカやジャニーズ好きの母がみたらなんていうやら」


 お父様は不愛想ながら愛情豊かという印象でしたがこの一年で生前の人格が少し表に出ている模様。


「ゴリラと人間を並べて似ていると言えるならそうでしょうけど公爵様……じゃなかった。お父様だった」


 平民は10歳もしくは12歳から基本的知識をつけるため特別初等科に入学必要ですからね本来は。アニメではそれすら飛び級してリズはあちこちでトラブルを起こしていたのですが今世では早くもメイド教育が終わり学校に楽しそうに通っています。貴族は本来初等科不要ですが同じ年頃の平民と『大変礼儀正しく』接してもらえることが女性としての人権を高らかに訴えたい彼女には大変嬉しい状態のようで。


 あ。彼女の知識は普通に有用なので当然お父様は養子縁組しました。男爵家にもらわれる前でよかったです。



 ちなみに生前の彼女の容姿については後に判明した限りでは本人言うほど酷くはなかったのですがそれはそれです。



『1920年からカミラちゃんが認知した未来である2020年までの100年間での転移可能』


 この能力が判明したので私たちはぶっ飛びました。

 家を保つために過剰に増えた兵力と過激な軍人を減らすためにカミラちゃんの実家を滅ぼすのとはわけが違います。



『あちらの総人口は70億です。オオサカという都市だけで260万人いるそうです。これは一つの市町村の話でありオオサカフという都全体では880万人。似たような都は"48"も存在すると聞きます。さらにその上位を統べる一国だけで一億もの民を抱えておりかの国を軍事的に支配している国は3億ほどの人間がいるそうです』


 私たちの解説を聞いた国王陛下は即座に出兵を取り止めました。よかったです。

 食料はあちらは捨てるほどあるのは魅力でも、こちらの方が金銀が多く地下資源に優れていることを考えた結果直接戦争でどうこうするより人知れず浸透して魔法などを駆使し支配権を奪う戦略のほうが有効と国王陛下は仰いました。婚約者も同意しました。それはそれで恐ろしい気がしますが気のせいです。


 

 カミラちゃんも『夢ではなかった夢の話』を子細に語ります。


『70年前の時点で超航空から100以上の戦略兵器を駆って都市を集中爆撃しいくつもの10万都市を一夜で灰燼に化す能力を持っていました。その兵器はたった一機で燃える鉄柱を1000本以上投下できます』

『100年単位で影響を及ぼす呪いだか猛毒だか不明ですが、人間には見えない光で周辺住民を消滅させ、以後も悪影響を及ぼす武器を持っているそうです』

『彼らの世界は人類が自らを滅ぼす手段を持っているがゆえに決定的な紛争は避けられていますが、攻撃をしても自らが自滅する危険がない完全なる異世界と認知した相手に対してはその限りではありません。彼らは我々の表現する異種族という概念がありません。家畜程度の認識で扱われる可能性すら視野に入れるべきでしょう』

『ダンジョンと魔王の力持ってしてもも助けられたのはごくわずかだった』



 などなど。

 カミラちゃんは過去に飛んで大事な人の曽祖父母を助けるべく奮闘し、結果破れて命を落としたそうです。



「そのあと、お母さんに揺り起こされて目が覚めたのです」



 確かにそれは夢と思いたいですよね。

 曰く、一人で異世界に迷い込んで大変困っていたところを親切な老婦人に助けられ、彼女の息子と仲良くなった。

 その子と『オーサカ』を食べ歩きして誰もを楽しませるダンジョンという新しい概念を得た。

 そしてその子に告白すると決めた日に彼は目の前で消え去った。


 理由は……国王陛下にタイムパラドックスを説明することが難しかったのですが、70年以上前に本来ならばその一族は絶えていたはずだったからです。

 自分が見た人たちがいたという想いを胸に過去に飛ぶも、消えていく記憶に苦しみ吸血鬼の身の上である以上制限も多く、やっと見つけた協力者たちも皆死んでいく中、最後の力を振り絞って好きな子の総祖父母たちを逃がして力尽き、そこで母に揺り起こされて。



「あれは夢だったんだぁ……って。嬉しくて。そして悲しかったっけ」

「妄想、いや娘よ。それは回想だったようだな。確かにダンジョンコアは自らのコピーを生成することが出来るようだ」


 伯爵さまがブツブツと呪文を唱えていると。


 ころり。

 伯爵さまがおっしゃるように掌大の宝玉がひとりでに欠けて私たちの前世記憶でいうビー玉サイズの宝玉が転がり出ました。



「これ、ヨーイチの店の守り神っておばちゃんが……」


 震える手でその玉をつまむカミラちゃん。

 最高機密ということで国王陛下と私達以外この場にいません。


 カミラちゃんはその玉を愛しそうに握りしめて胸に置きました。

 鮮やかな光が彼女の指の間から漏れ出でます。



『我は構築する』

『死骸の山を持って我が怨念はここに結実する』


 ここまではわたしも調べた通りの祝詞です。


『食まれし小麦に屠られし家畜の屍。笑いて葡萄の果実を踏む娘たちの希望を持って汝は生まれる』

『訪れる者に安らぎを。立ち去るものに幸せを』


 伯爵さまが驚いておられます。

 基本彼の家のダンジョンは先祖代々、辺境を襲ってくる敵国兵を磔や串刺しにして維持していましたからね。


『柔らかな光が心を癒す。涼やかな風が身体を活かす。人々の笑顔と絶えまぬ賛美の歌を生み出せ。

 死したる魂と土くれに我が命と魂を分け与えよう。恋人たちが手を取り合う喜びの歌と共に。


 出でよ我が迷宮よ。我は求め訴えたり!』


 光がふわりと広がり、小さな玉となって彼女の周りをくるくると舞ったかと思うと小さな粉雪のように王城の地下室に降りしきり、やがて小さな扉が。


 警戒する私達をよそにカミラちゃんは喜色満面で『ただいま!』と叫んでそれを開けちゃいました。



 この後、実に胸焼けする光景を見る羽目になるのですが、それはそれでよかったです。

 あ、伯爵さまはニコニコ笑いながら結構複雑な表情をしておられました。

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